1999年 旧 日立電線ニュースリリース

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光パッシブ型洞道監視システムを世界で初めて納入

 このたび当社は、東北電力(株)殿との共同研究により光パッシブ型洞道監視システムを開発し、東北電力(株)殿の地中送電線路である白山本町線の洞道(新潟県新潟市)向けに、納入しました。これは、光パッシブ型洞道監視システムとしては、世界初の納入となります。
 光パッシブ型洞道監視システムは、洞道内に設置する機器が光センサと光伝送路(光ファイバケーブルと光接続箱)のみであり、従来の洞道監視システムと違って、電源と各種センサ情報を伝達する光多重伝送装置が不要なため、建設コストとメンテナンスコストを大幅に低減することができます。

 都市部への電力供給は、主に地中送電線路によって行われており、その信頼性を確保するため、ケーブル本体や洞道の保守管理を行うことが重要です。
 従来の洞道監視システムは、水位、ドア開閉、ガス、火災、温度などを、電気を使用した各種センサにより検知し、電磁誘導の影響を避けるため、その電気信号を洞道内に数百m毎に設置した光多重伝送装置で光信号に変換した後、光ファイバを通して監視装置に伝送するシステムでした。
 しかし、従来のシステムは、(1)非常に高価な光多重伝送装置を多数用いるためコストがかさむこと、また、(2)光多重伝送装置は、大変複雑な電子回路を内蔵しているため、高温多湿となる洞道内で信頼性を確保するには防水ケースが必要なこと、(3)狭い場所にこれらの装置の設置スペースを確保する必要があること等、建設コストやメンテナンスの難しさの面で問題がありました。

 このたび開発された光パッシブ型洞道監視システムは、変電所等に設置する「監視装置」、そこから洞道内に布設した1本の「光ファイバ」、それを枝分かれさせる「光分岐器(カプラ)」、それらの先端に接続された「光センサ」という構成になっています。監視装置から送信された光信号は、先端の光センサで反射して監視装置に戻りますが、センサの作動状態によって戻り光の強度が変化する仕組みとなっています。これにより、従来のシステムでは不可欠であった光多重伝送装置と電源が必要なくなりました。

 また、このシステムに使用される下記の光センサは、今回新たに開発したものです。

(1)ファラデー素子型光センサ

 ファラデー素子とは、磁界が近づくと光の偏波面に回転を与える素子で、その結果、光が流れなくなります。これを利用して、例えばドアの開閉部に磁石をつけておくと、ドアが開いて磁石が離れることにより、光が流れるので、ドアの開閉を検知することができます。今回のシステムでは、ドアの開閉状態検知のセンサとして利用されています。

(2)電磁石利用型光センサ

 これは、電磁石により遮光板を動かすことにより、光を流れなくして異常を検知するシステムのセンサです。例えば、酸素濃度が異常になると、電気が流れることにより電磁石が作動し、遮光板を動かして光が流れなくなった結果、酸素の異常を検知します。今回のシステムでは酸素センサ、可燃ガスセンサ、硫化水素ガスセンサとして使用しています。

 今回納入した白山本町線の光パッシブ型洞道監視システムは、去る11月29日に東北電力(株)殿への引渡し試験を無事完了し、運用を開始いたしましたが、引き続き当社では、東北電力(株)殿の地中送電線路である五港線の洞道(宮城県仙台市)に、平成12年2月から平成13年3月にかけて納入する予定です。