MA750
Ni-15Cr-7Fe-2.5Ti-0.7Al-1.0(Nb+Ta) (mass%)
特長
MA750は時効硬化性のNI-Cr基合金で、適切な熱処理を施せば、816℃の高温、高応力下でも高いストレスラプチャー強度と、小さいクリープ強度が得られます。しかも化学的腐食および酸化に対しても大きな抵抗性を示します。MA750は704℃で析出硬化されると、高い強度を持つようになり、593℃以下で使用する場合は、冷間加工と熱処理を併用することによって、より高い強度が得られます。 593℃以上で使用する場合には三段階の熱処理により適切な性質を得る事が出来ます。ただし、時効硬化の性質は、816℃以上で温度上昇とともにその効果の大部分を失いますが、溶体化処理をしたもの、また直接時効したものは約982℃までその強度は保たれます。
用途
ガスタービンローターブレード、ホイール、ボルト、ガスタービン部品、ジェットエンジン、ラムジェットロケットのアフターバーナー、圧力容器、エアーフレーム、ミサイル、熱処理装置、試験機のグリップ、スプリング材、ベロー、蜂巣状のトレー、押し出しダイス等。
溶接性
この種の析出硬化合金の溶接は、析出後の割れなどの問題があって困難なため、析出硬化前に溶接しなければなりません。溶接効率は80%以上ですが、各種の酸化物を除去してから溶接を行わないと、この効率は非常に悪くなります。また高温での脆性があるために各層溶接に際しては、各層毎に焼鈍、あるいは溶体化処理が必要になる場合があります。
形状
板、鍛造品、棒、線、管、溶接線、組立機器類など各種形状が製造可能です。
規格
MA750は下記規格に該当します。
ASTM:UNS No.N07750
棒、鍛造品 |
---|
B637 |
ASME:UNS No.N07750
棒、鍛造品 |
---|
SB-637 |
JIS:NCF750
板 | 棒 |
---|---|
G4902 | G4901 |
AMS:UNS No.N07750
板 | 棒、鍛造品 | 管 | 線 |
---|---|---|---|
5542 | 5667 | 5582 | 5698 |
5598 | 5668 | 5583 | 5699 |
5670 | |||
5671 | |||
5747 |
機械的特性・物理的性質
常温及び高温引張性質
熱処理条件 | 試験温度(℃) | 引張強さ(N/mm2) | 耐力(N/mm2) | 伸び(%) |
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1,149℃×2hr AC | 室温 | 1,196 | 814 | 27 |
843℃×24hr AC | 538 | 1,049 | 724 | 26 |
704℃×20hr AC | 649 | 938 | 710 | 10 |
760 | 717 | 534 | 8 | |
871 | 325 | 208 | 18 | |
982 | 98 | 61 | 31 |
ラプチャー強度(732℃)
破断寿命(hr) | 応力(N/mm2) |
---|---|
100 | 333 |
1,000 | 261 |
衝撃値(J)
常温 | 538℃ | 816℃ |
---|---|---|
49 | 67 | 88 |
物理的性質
比重 | 融点(℃) | 比熱(J/kg・K) | 線膨張係数(10-6/℃) | 電気抵抗(μΩ-cm) |
---|---|---|---|---|
8.3 | 1,395~1,425 | 常温 431 538℃ 569 |
27℃~93℃ 12.1 27℃~871℃ 16.8 |
111 |
弾性率(GPa)
常温 | 538℃ | 816℃ |
---|---|---|
214 | 184 | 160 |
熱伝導率(W/m・K)
常温 | 538℃ | 816℃ |
---|---|---|
12.2 | 18.9 | 23.9 |