MA22
Ni-22Cr-13Mo-3W-4Fe (mass%)
ニッケル基耐食合金を、より多彩な用途へ
特長
MA22は他のNi-Cr-Mo合金よりも全般的に優れた耐食性を示す多才なNi-Cr-Mo合金です。MA22は、酸化性酸および還元性酸の両方の媒体に優れた耐食性を示し、その多才性により酸化・還元の両条件が繰り返し起こるプロセスや多目的機器に使用出来ます。特に、MA22は酸化性の水溶液(酸化性物質を含有する酸、湿塩素ガス、硝酸が混合した媒体、塩化物イオンを含有する酸化性酸など)に優れた耐食性を示します。
耐食性
MA22は優れた耐孔食性、耐すきま腐食性および耐応力腐食割れ性を有します。
MA22は広範囲の化学工業プロセス環境に対して、優れた耐食性を示します。例えば塩化第二鉄や塩化第二銅のような強酸化剤、有機物や無機物の混じった高温の媒体、塩素、ぎ酸、酢酸、無水酢酸、および海水や塩水が挙げられます。
溶接性・機械加工性
MA22は、ステンレスと同様な塑性加工、成形加工が可能です。MA22の溶接は普通の溶接方法の全てが適用可能ですが、腐食を避ける箇所に使用する場合には酸素アセチレン法およびサブマージドアーク溶接は推奨出来ません。また過大な熱入力を避けるように注意が必要です。 MA22は溶接熱影響部での粒界析出を抑制することにより溶接後の熱処理を必要とせずに多くの化学プロセスに使用出来るように改良されています。
熱処理
MA22素材は特に指定の無い限り、溶体化処理をおこなってあります。溶体化処理を行った後、急冷することにより最大の延性、耐食性、機械加工性が得られます。熱間加工により製造された部品は、最終の組み立て加工や使用の前に溶体化処理を行う必要があります。
形状
板、鍛造品、棒・条、管、溶接線、組立機器類 など各種形状の製造が可能です。
規格
MA22は下記規格に該当します。
ASTM:UNS No.N06022
板 | 棒、鍛造品 | 管 | 継手 |
---|---|---|---|
B575 | B564 | B619 | B366 |
B574 | B622 | ||
B626 |
ASME:UNS No.N06022
板 | 棒、鍛造品 | 管 | 継手 |
---|---|---|---|
SB-575 | SB-564 | SB-619 | SB-366 |
SB-574 | SB-622 | ||
SB-626 |
JIS:NW6022
板 | 棒、鍛造品 | 管 | 継手 |
---|---|---|---|
G4902 | H4553 | H4554 |
耐食性
腐食データ
下記データはビーカーテストによる一例であり、最大あるいは最小値を保証するものではありません。
個々の目的に対する材質の選定には実機試験が必要になります。
溶液 | 濃度(wt%) | 温度(℃) | 腐食速度(mm/年) |
---|---|---|---|
塩酸 | 1 | 50 | 0.009 |
1 | 沸騰 | 0.13 | |
2 | 沸騰 | 1.72 | |
3 | 50 | 0.003 | |
5 | 室温 | 0.008 | |
5 | 沸騰 | 7.95 | |
36 | 沸騰 | 0.16 | |
弗酸 | 2 | 50 | 0.08 |
硫酸 | 1 | 沸騰 | 0.060 |
10 | 沸騰 | 0.23 | |
40 | 沸騰 | 1.89 | |
40 | 100 | 1.11 | |
40 | 80 | 0.02 | |
40 | 60 | 0.00 | |
40 | 40 | 0.00 | |
80 | 120 | 10.3 | |
80 | 100 | 1.36 | |
80 | 80 | 0.53 | |
80 | 60 | 0.07 | |
80 | 40 | 0.02 | |
98.5 | 130 | 4.51 | |
98.5 | 110 | 5.65 | |
98.5 | 90 | 1.66 | |
燐酸 | 5 | 沸騰 | 0.005 |
85 | 沸騰 | 3.38 | |
50 | 50 | 0.001 | |
蟻酸 | 88 | 沸騰 | <0.03 |
酢酸 | 99 | 沸騰 | 0.001 |
硝酸 | 10 | 沸騰 | 0.03 |
60 | 沸騰 | 0.63 | |
60 | 60 | 0.02 | |
65 | 沸騰 | 1.3 |