2018年ニュースリリース
日立金属株式会社
海外向け鉄道車両用LANケーブルを新たに開発
日立金属株式会社(以下 日立金属)は、欧州鉄道車両火災安全性規格(EN※145545-2)に対応した高速通信用カテゴリー7(Cat.7)LANケーブル「CO-IREE-SB C7E(X)」を開発しました。鉄道車両において電子機器のイーサネット※2化や、乗客へのインターネットアクセスサービスに対するニーズが世界中で高まる中、日立金属はこれら要望にお応えする電線・ケーブルを提供してまいります。
1.背景
日立金属は、鉄道車両用をはじめとするさまざまな用途に応じた電線材料を製造・販売しており、その安定した品質から、幅広いお客様に採用いただいております。
近年、鉄道車両において、車両の高機能化による電子機器のイーサネット化や乗客へのインターネットアクセスサービスの提供が進んでいることに伴い、鉄道車両上で取り扱う情報量も増加し、鉄道車両向けの通信ケーブルにも高機能化のニーズが高まっています。
2.概要
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写真:鉄道車両用 Cat.7 LANケーブル
「CO-IREE-SB C7E(X)」
鉄道車両に搭載されるケーブルは、火災安全性規格で規定される燃焼試験(難燃、発煙、毒性)を満たす特性が求められます。このたび日立金属が開発した鉄道車両用Cat.7 LANケーブル「CO-IREE-SB C7E(X)」は、日立金属が独自に培ってきた鉄道車両用電線における火災安全設計技術を活用したものです。LANケーブル構造の工夫と、独自開発した高難燃性を有するハロゲンフリー外被材料を採用することで、電気特性と、欧州規格での鉄道車両火災安全性の両立を実現した製品です。
■「CO-IREE-SB C7E(X)」の特長
(1)絶縁体
微細発泡技術※3 と多層押出成形技術により低誘電率化と絶縁体可燃物の低減に成功。
(2)シールドテープ
独自のテーピング方法を施すことで、Cat.7 LANケーブルで要求される600MHzまでの広帯域にわたる電気特性を達成。
(3)外被材料
独自開発の高難燃ハロゲンフリー外被材料を採用し、低発煙性や低毒性などEN45545-2で要求される火災安全性要求を満足。
「CO-IREE-SB C7E(X)」が新たな製品ラインナップに加わることで、日立金属は、欧州やアジアなどの地域に向けた鉄道車両案件における高機能化ニーズに、幅広くお応えしていきます。
日立金属は、今後も新規材料開発に注力するとともに、お客様の課題を解決するソリューション技術で鉄道車両の高性能化に貢献します。
3.製造拠点
日立金属 茨城工場
4.特許
特許出願済み
以上
【お客様からのお問い合わせ】
日立金属株式会社 電線材料カンパニー 担当 小高 TEL 03-6774-3587
【報道機関からのお問い合わせ】
日立金属株式会社 コミュニケーション室 担当 車谷 TEL 03-6774-3075
<補足資料>
■鉄道車両用Cat.7 LANケーブルの構造
項目 | CO-IREE-SB C7E(X) |
---|---|
導体サイズ | 24AWG |
絶縁体外径 | 標準1.4mm |
対数 | 4 |
ケーブル外径 | 標準8.6mm |
■LANケーブルの伝送速度・伝送帯域(参考値)
項目 | Cat.5E(2P) | Cat.7(4P) |
---|---|---|
最大伝送速度 | 100(Mbps) | 10(Gbps) |
伝送帯域 | 100(MHz) | 600(MHz) |
■欧州火災安全性(EN45545-2)
試験項目 | 規格値 |
---|---|
一条燃焼 | 50mm≦炭化長≦540mm |
多条燃焼 | 炭化長≦2.5m |
発煙濃度 | 光透過率≧70% |
毒性 | 毒性指数≦6 |
<用語解説>
- ※1 EN
- European Normの略で「欧州規格」の意。
- ※2 イーサネット
- 富士ゼロックス株式会社の登録商標。コンピュータネットワークの規格のひとつで、世界中のオフィスや家庭で一般的に使用されるLANで最も使用されている技術規格。LANで接続された多数のコンピュータが、効率よく通信回線を利用できるように考えられた通信方法の一つ。
- ※3 微細発泡技術
- 溶融樹脂に高圧下で発泡剤を大量に溶解させ、急減圧させることによって多数の微細な気泡を発生させる方法。