2018年ニュースリリース

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日立金属株式会社

耐食性・耐土砂摩耗性に優れた硬質粒子分散型クロム基合金を開発
~地下資源掘削機器の長寿命化、保守作業の軽減に寄与~

 日立金属株式会社(以下、日立金属)は、株式会社日立製作所(以下、日立製作所)の研究開発グループの協力のもと、地下資源を採掘する機器向けに耐食性、耐土砂摩耗性、施工性に優れた硬質粒子分散型クロム基合金を開発しました。掘削機器の部品表面に本合金を肉盛することで、機器の長寿命化や保守作業の軽減に寄与します。

1.開発の背景

 油井の原油回収に使用される人工ポンプ機器の摺動部品には、耐食性、耐土砂摩耗性に優れたコバルト基合金などの表面強化用材料が施工されており、必要に応じて部品の保守や交換が行われています。近年、採掘速度の向上や、大深度採掘、より厳しい腐食環境下での採掘により部品の寿命が短く、交換頻度が多くなってきています。従来のコバルト基合金をはじめとした材料は、金属生地に含まれる硬質粒子が耐土砂摩耗性を担っています。しかしながら、一般的に硬質粒子の形成過程で金属生地の耐食性を担う元素が減少して金属生地の耐食性が低下するため、耐土砂摩耗性の高い合金ほど、耐食性が低い課題がありました。また、コストや資源の観点からもコバルトを含まない材料が望まれています。

2.開発の概要

  • 硬質粒子分散型クロム基合金
    写真:硬質粒子分散型クロム基合金

 こうした中、このたび日立金属は、日立製作所の研究開発グループの協力のもと、耐食性と耐土砂摩耗性、施工性に優れた硬質粒子分散型クロム基合金を開発しました。具体的には、日立製作所が開発した耐食性に優れたクロム基合金をベースにして、硬質粒子を分散させて耐土砂摩耗性を向上させたものです。金属生地中には高濃度のクロムを含有しており高いレベルでの耐食性を維持しており、かつ土砂よりも硬度の高い硬質粒子を分散させることで、耐土砂摩耗性を向上させています。コバルト基合金に比べ10倍以上の耐食性と2倍以上の耐土砂摩耗性を兼ね備えていることを社内試験で確認したことに加え、溶接施工後も割れが生じないことを確認しました。
 今回、開発した硬質粒子分散型クロム基合金を地下資源採掘機器の部品表面に肉盛することで、機器の長寿命化が図れるほか、メンテナンス頻度の削減により保守作業の軽減に寄与します。

 今後、油井などをはじめとする過酷環境下で使用される機器や部品への幅広い適用に向けて実証実験を進めていき、実用化をめざします。

以上

【報道機関からのお問い合わせ】
日立金属株式会社 コミュニケーション室 担当 吉原 TEL 03-6774-3073

■参考:硬質粒子分散型クロム基合金の特性位置づけ

硬質粒子分散型クロム基合金の特性位置づけ