2017年ニュースリリース

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日立金属株式会社

ナノ結晶軟質磁性材料ファインメット®を使用した高インピーダンス
コモンモードチョークコイル・コア「FT-3K10Q」シリーズを開発

 日立金属株式会社(以下 日立金属)は、ナノ結晶軟磁性材料ファインメット®を使用した、高インピーダンス※1かつ、高温特性に優れる、コモンモードチョークコイル・コア「FT-3K10Q」シリーズを開発しました。EV※2など次世代自動車に使用される電子機器のノイズフィルターにおいて、さらなる小型軽量化、高信頼性化を実現します。

1.背景

 日立金属は、自動車用電装部品をはじめとするさまざまな電子回路に搭載される軟質磁性材料の一つとして、ナノ結晶軟磁性材料ファインメット®を製造・販売しています。磁心(コア)材料として安定した品質を高く評価いただいており、多くのお客様に採用されています。
 近年、自動車の電動化が進展するとともに、搭載される電子機器の高効率化と高信頼性への要求が高まっており、高密度に搭載される各電子部品は、さらなる小型軽量化および広い温度範囲での性能や信頼性の向上が求められています。

2.概要

  • 写真:ファインメット®コモンモードチョークコイル・コア「FT-3K10Q」シリーズ
    写真:ファインメット®
    コモンモードチョークコイル・コア
    「FT-3K10Q」シリーズ

 このたび日立金属がナノ結晶軟磁性材料ファインメット®を使用し、新たに開発したコモンモードチョークコイル・コア「FT-3K10Q」シリーズは、日立金属独自の技術により、kHz~MHz の幅広い周波数領域において、高いインピーダンスを実現(従来材「FT-3K50T」インピーダンス対比、100kHz で約30%、1MHz で約10%)し、ノイズを効果的に抑制します。
 また、低温から高温までインピーダンスの変動が小さいため、広い温度環境下で、車載電装品の安定化を図ることが可能です。本製品の使用により、車載充電器などの電源部品に使用されるノイズフィルターの高信頼性化、小型軽量化が可能となります。
 ナノ結晶軟磁性材料ファインメット®の「FT-3K10Q」シリーズが新たな製品ラインナップに加わることで、日立金属は、お客様のニーズにこれまで以上に幅広くお応えしていきます。
 日立金属は、今後も新規材料開発に注力するとともに、電子部品のさらなる高効率化、信頼性向上、小型軽量化に貢献します。

■「FT-3K10Q」シリーズの特長
(日立金属 従来品「FT-3K50T」比較)

(1)幅広い周波数領域で、インピーダンスを改善(100kHz で約30% 1MHz で約10%)
(2)広範な温度帯での安定したインピーダンス特性(変化率12% (-40~+150°C))

3.生産状況

 サンプル供給開始:2018年1月、 量産開始:2018年4月

4.製造拠点

 Hitachi Metals(Thailand) Ltd.

5.用途

 車載用ノイズフィルター

6. 特許

 基本特許取得済み

以上

【お客様からのお問い合わせ】
日立金属株式会社 特殊鋼カンパニー 担当 相牟田 TEL 03-6774-3471

【報道機関からのお問い合わせ】
日立金属株式会社 コミュニケーション室 担当 車谷 TEL 03-6774-3075

  • イメージ:インピーダンス周波数特性(参考値)(Core Size OD : 27.5 mm、ID : 21.0 mm、H : 7.5 mm)

<補足説明>

インピーダンス周波数特性(参考値)
Core Size OD : 27.5 mm、ID : 21.0 mm、H : 7.5 mm)

インピーダンス (Ω)
10kHz 100kHz 1MHz
FT-3K10Q (新製品) 2.32 9.57 21.05
FT-3K50T 1.02 7.31 18.72
Mn-Zn Ferrite
(自社材 MP70D)
0.19 2.05 6.73

<用語解説>

※1
交流回路での電気抵抗で、Z の記号で表される複素量。実部を抵抗,虚部をリアクタンスという。単位は Ω。
※2
ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)を含む電気自動車(EV)を指しています。