2008年ニュースリリース
日立金属株式会社
新型フェライトコアを開発
日立金属株式会社(本社:東京都港区、社長:持田農夫男、以下 日立金属)は、不等ツバ形状で初期インダクタンスを約13%向上させた新型フェライトコアを開発し、品ぞろえを充実させましたのでお知らせいたします。
記
1.背景
フェライトコアは、電子機器の電圧変換やノイズ除去などに使用される巻線タイプのインダクタ*1用の芯材です。日立金属は、フェライトコアのリーディングカンパニーとして、低損失と高磁束密度を兼ね備えた高機能材料で、電子機器の高性能化・小型化に寄与してきました。
そのような中、小型デジタル機器に用いられるパワーインダクタ用フェライトコアには、さらに低背・小型で高いインダクタンス*2へのニーズがあり、開発に取り組んでまいりました。
2.開発の概要
日立金属は、独自の製造技術と材料技術を駆使して、新型フェライトコアを開発しました。新型フェライトコアは、片方のツバが四角形、もう一方のツバが円形の不等ツバ形状*3(以下 角/丸ツバ)です。当社従来品である同サイズの円形等ツバ形状(以下 丸ツバ)よりも、有効体積を増加させ、初期インダクタンスを約13%向上することができました。
3.特長
- (1)
- 初期インダクタンス値を約13%向上達成(当社従来品である3mmΦサイズの丸ツバ形状との比較)
- (2)
- 巻線に由来する直流抵抗*4を約15%低減可能(初期インダクタンスの向上により、巻数を減少できるため)
- (3)
- 直流重畳特性*5を約30%向上可能(初期インダクタンスの向上により、従来品である丸ツバ形状と同じインダクタンスになるよう芯径寸法を大きく設計した場合)
- (4)
- 四角形のツバによりコアの位置決めや電極形成が容易となり、お客様の使い勝手が向上
4.用途
携帯電話および電子音楽プレイヤー等の電子機器に使用されるパワーインダクタ全般
5.生産能力
1億個/月(2008年11月)
6.製造および販売
製造:鳥取工場(鳥取県鳥取市)、中国番禺工場(中国広東省広州市)
販売:情報部品カンパニー
以上
【お客様からのお問い合わせ】
情報部品カンパニー 担当 渡辺 TEL 03-5765-4463
【報道機関からのお問い合わせ】
コミュニケーション室 担当 畑 TEL 03-5765-4082
ご参考
[用語解説]
※1 インダクタ
電気回路のインダクタンスを得るために用いられる部品。空芯コイルと磁性体を使用した有芯コイルがあり、今回の場合は有芯コイルにあたる。
※2 インダクタンス
電磁誘導の大きさを表す単位であり、誘導起電力が電流の変化する速さに比例するときの比例定数。
※3 不等ツバ形状
上ツバと下ツバの形状および寸法が異なるドラムコア。
※4 直流抵抗
コイルに直流が流れる時の、流れを阻止する成分。巻線に使用する銅線にも抵抗分が含まれるため、銅線の長さが長くなるほど直流抵抗は増加する。
※5 直流重畳特性
コイルに直流電流を重畳した場合に、どのくらいの電流で飽和が起きるのか、インダクタンスが低下傾向を示す特性。