2013年 旧 日立電線ニュースリリース
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窒化ガリウムテンプレートの販売開始
日立電線株式会社はこのたび、サファイア基板上に高品質な窒化ガリウム(GaN)単結晶薄膜を成長したGaNテンプレート(図1)の新規量産技術を開発し、販売を開始しましたのでお知らせいたします。
本製品を白色LED用エピタキシャルウェハ(以下、「白色LED用エピウェハ」)の下地基板とすることで、白色LED用エピウェハの生産性とLED特性の大幅な向上が可能となります。このため本製品は、競争環境の激しい白色LEDメーカーにとって、業界ポジション向上のための効果的なソリューションになると期待されます。
白色LEDは、その省エネ性・長寿命性から、液晶用バックライトへの適用にはじまり、近年では一般照明用として急速に需要が拡大しております。白色LED用エピウェハは、サファイア基板上に10µm程度の厚いn型GaN層を成長した上に、1µm程度の薄い活性層とp型GaN層を積層した構造をしています(図2)。一般的な製造工程では、これら全ての結晶層はMOVPE法*1 により形成されますが、MOVPE法は原子レベルでの膜厚制御が必要な活性層の成長には適している反面、良質なn型GaN層を厚く成長するには長時間を要するといった難点があります。そのため、白色LED用エピウェハの成長回数は1日あたり1~2回程度が限界で、生産効率の高い製造方法の確立が課題となっています。
この課題を解決するため、当社はMOVPE法による成長の下地基板に用いるGaNテンプレートを開発しました。
GaNテンプレートはサファイア基板上にn型GaN層を成長した構造です。GaNテンプレートを用いることで、LEDメーカーはn型GaNバッファ層の成長が不要となり、成長に要する時間を従来の2分の1程度に短縮することが可能となります。また、当社製GaNテンプレートでは低抵抗化と高結晶性の両立が可能であるため、大電流を必要とする高出力LEDにも適しています。
当社はこれまでに、青紫レーザ等に用いられる単結晶GaN自立基板を開発し、その製造のためにHVPE*2 法に基づく独自の結晶成長技術を発展させて参りました。この独自成長技術をベースに、今回は、高品質GaNテンプレートの高効率製造技術・装置を新たに開発し、量産体制を構築いたしました。
GaNテンプレートの主な特徴は以下の通りです。
■GaNテンプレートの主な特徴
- GaN自立基板開発で培った成長技術に基づく、高い結晶性と高い表面品質
- 高出力ウェハ・ボンディング型LEDなどにも適した低抵抗n型GaNバッファ*3
- 平坦表面サファイア基板および各種PSS*4に対応
- 2~6インチ径ウェハに対応(8インチも計画中)
従来より当社が提供しているGaN基板、GaNエピウェハに加え、今回新たにGaNテンプレートをラインアップすることにより、今後はこれらのGaN製品群をさらに強化・拡大し、お客様の幅広いニーズに応える化合物半導体材料を提供して参ります。
なお、5月13~16日に米国ニューオリンズで開催されるCS Mantech(化合物半導体製造技術の学会)主催の展示会にてGaNテンプレートのパネル展示をいたします。
以上
図1:GaNテンプレートの構造 | 図2:白色LED用エピウェハの構造 |
図3:GaNテンプレートを使うことによる、白色LED用エピウェハの生産性向上のイメージ
図4:GaNテンプレートの写真
参考:CS Mantech 2013 (化合物半導体製造技術に関する国際学会)
主 催 | CS MANTECH COMMITTEE |
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会 期 | 2013年5月13日(月)~16日(木) |
場 所 | 米国ルイジアナ州ニューオリンズ、ヒルトン・ニューオリンズ・リヴァーサイド |
当社ブース | No.203 |
学会URL |
*1 | MOVPE法:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy法。有機金属気相エピタキシー法。 |
*2 | Hydride Vapor Phase Epitaxy |
*3 | LEDエピウェハを放熱性の高い支持基板に貼り付けサファイアをはがし、裏表電極としたLED。剥離面に電極を形成するため、剥離面は低抵抗であるのが好ましい。 |
*4 | PSS:Patterned Sapphire Substrate。表面にパターン形成したサファイア基板。 |