2010年 旧 日立電線ニュースリリース

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このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

独自の省エネルギー技術により、データセンタの大幅な省電力化に成功
― 世界トップクラスのPUE=1.19を達成 ―

 日立電線株式会社はこのたび、茨城県日立市にある当社のデータセンタにおいて、独自の省エネルギー技術を用いることにより、空調電力を大幅に削減することに成功し、データセンタの省エネルギー指標であるPUE*1 において1.19を達成*2 しましたので、お知らせします。

 当社では、製品・サービスを通じて環境と調和した持続可能な社会を実現するために、製品の全ライフサイクルにおける環境負荷低減をめざしたモノづくりを推進し、環境保全に努めております。
こうした活動を続ける中で、当社は、平成15年度省エネルギー優秀事例全国大会において、製造装置から排出される30℃未満の低温域の熱を拾い集め、ボイラーの熱源に再利用する「『製造~空調~用役』設備の連携と熱循環によるクリーンルームの省エネ」で、資源エネルギー庁長官賞を受賞しております。また、平成20年度省エネルギー優秀事例全国大会において、当社独自のPLC*3 を用いた制御システムにより、製造現場において重要な管理項目である温度を保障しながら、冷凍機の運転台数を最小とする「空調用大型冷熱源の『温度保障型、自動寄せ止め制御』開発による省エネ」で、関東経済産業局長賞を受賞しております。

 このたび、当社では、これら独自の省エネルギー技術を応用することで、茨城県日立市にある当社のデータセンタの空調設備の大幅な省電力化に成功しました。
 データセンタには、サーバやネットワーク設備など多くのIT機器が高密度に設置されており、これら機器を冷却するために空調設備が設けられております。今回、当データセンタでは、これまで一般的には採用されてこなかった冷凍機によって生成される冷水を用いた水冷式の空調設備を導入するとともに、外気を利用して冷水を生成する手法を導入いたしました。さらに、冷凍機の運転にあたっては、すでに当社製造現場において実績を持つ「温度保障型、自動寄せ止め制御」を用い、最小限、かつ最高効率での稼動を実現しており、従来の空冷式に比べ、空調電力を大幅に削減することに成功しました。
 また、これらの省エネルギー技術を導入した結果、近年、The Green Grid*4 によって提案されたデータセンタの省エネルギー指標として用いられるPUEにおいては、1.19を達成したことが確認できました。
PUEは、データセンタで使用されるIT機器と付帯する照明、空調などの設備全体の消費電力をIT機器のみの消費電力で割って算出するものです。一般的なデータセンタにおける空調などの設備用電力は、IT機器の消費電力と同等程度の電力が掛かっているため、PUEは1.8~2.0程度となります。米国の環境保護庁は「2011年までに達成すべきPUEの目標」を5段階で設定しており、中位に位置づけられた「Improved Operations(標準的な技術を適用した場合)」で1.7、上位に位置づけられた「Best Practice(優れた技術を適用した場合)」で1.3、最上位に位置づけられた「State of the art(最先端の技術を適用した場合)」で1.2となっております。このことから、当社データセンタは世界トップクラスの省エネルギー性能であると言えます。

 このほか、製造装置から排出される低温域の熱を再利用する技術を応用し、データセンタの空調設備に熱回収コイルを導入し、IT機器から排出される熱を拾い集め、ボイラーの熱源補助として再利用しております。

 今後、当社ではさらなる省エネルギー化の実現に向けて、研究、開発に注力してまいります。

以上

*1 PUEは、Power Usage Effectivenessの略です。
*2 2009年1月から2009年12月までの実測値の年平均。
*3 PLCとは、Programmable Logic Controllerの略で、シーケンス制御専用のマイクロコンピュータを利用した制御装置のことです。
*4 The Green Gridは、データセンタやIT機器の省エネルギー化を進めるために2007年に設立された業界団体です。