2010年 旧 日立電線ニュースリリース

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このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

55ルーメンの高出力赤色LEDチップを開発

 日立電線株式会社は、このたびチップサイズを大きくし、細線電極構造を取り入れることで、最大55ルーメン*1 *2 の明るさを達成した高出力赤色LEDチップ*3 を開発しましたので、お知らせします。

 LEDは電気を直接光に変換できる半導体固体素子です。カラーフィルターを用いずに特定の色の光を取り出せる利点と低電圧で駆動できる利点とを活かして、各種機器のインジケータ用光源として広く利用されてきました。近年、LEDの発光効率向上や、青色と緑色のLEDが実用化されたことにより、交通信号灯や自動車のリアコンビネーションランプ、屋外大型ディスプレイパネル等、様々な表示・照明用光源として急速な広がりを見せております。
これまで当社では、赤色LED用化合物半導体ウェハとして、アルミニウム・ガリウムひ素(AlGaAs)エピタキシャルウェハに加えて、アルミニウム・ガリウム・インジウム・リン(AlGaInP)エピタキシャルウェハを製品化してきました。また、より発光効率の高いLEDに対するニーズに対応するため、発光層直下に金属反射膜(Metal Reflector, 「MR」)を設け、発光効率を高めた高輝度赤色LEDチップ(以下、「MR-LEDチップ」)を開発し、LEDパッケージメーカなどのお客様にご採用いただいております。

 こうした実績を積み重ねる中で、1チップ当たりの発光出力を高めたLEDチップへの需要が明らかになりました。そこで、当社では細線電極構造を取り入れ、チップサイズの大型化を実現することで、55ルーメンの明るさを達成した高出力赤色LEDチップを開発しました。
 チップ当たりの発光出力を高める方法の一つとして、チップサイズの大型化が挙げられます。しかし、一般にチップサイズを大きくすると、発光層の隅々にまで電流を均等に分散させることが困難になります。一方、電流を均等に分散させるためにチップ上部に大きな電極を設けると、発光層からの光を遮ってしまうため、光の取り出し効率が低下する問題があります(図1.「チップサイズ大型化における課題」参照)。
 こうした課題に対応するため本開発品では、大きな電極の代わりに、チップ上部に電力供給を受ける2つのパッド電極と、2つの電極をつなぐ背骨電極、そして背骨電極から伸びた複数の細線電極を形成しました(図2.「開発品:高出力赤色LEDの構造」参照)。
今回、細線電極を設けることにより発光層からの光を遮ることなくチップ全体に電流を均等に分散させることに成功し、1mm角の大型LEDチップにおいて、最大55ルーメンと従来のMR-LEDチップ(0.33mm角)の21個分の発光出力を得ることができました*4 。高出力化を実現したことで、これまでの表示用途に加え、プロジェクター等のランプ光源への採用も期待されます。

 当社では、今後、さらなる高出力化の開発に注力するとともに、黄色や赤外など高出力LEDチップのラインアップの拡充を図ってまいります。

以上

*1 ルーメンは、人間の目の可視光線への感度を考慮した光の強度の単位です。
*2 500mA通電時における発光出力です。
*3 LEDは、Light Emitting Diode(発光ダイオード)の略語です。
*4 当社のMR-LEDチップ(0.33mm角、20mA通電時、2.6ルーメン)と比較した場合。
図1.チップサイズ大型化における課題 図2.開発品:高出力赤色LEDの構造

図3.高出力赤色LED外観