2010年 旧 日立電線ニュースリリース

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このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

新たな高速近距離無線規格に対応した小型カプラを開発

 日立電線株式会社は、このたび新たな高速近距離無線規格である「TransferJet」*1 に対応した小型カプラを開発しましたので、お知らせします。2010年3月より量産開始を目指します。

 TransferJetは、ソニー株式会社が提案する高速近距離無線規格で、放射電磁界を用いた一般的な無線アンテナではなく、誘導電界を用いたカプラと呼ばれる送受信アンテナによって通信します。レーダーなどで利用されている超広帯域無線規格「UWB」*2 並みのスピードと、FeliCa*3 などで利用されている短距離無線通信規格「NFC」*4 の手軽さをあわせ持っており、ユーザーはカプラを搭載した機器同士を3cm以内に近接させるだけで最大で560Mbpsのデータ転送ができます。ケーブルを使わずに、画像や、音声、動画などの大容量のデータを素早く手軽に転送できることから、テレビやパソコン、デジタルカメラ、携帯電話など多くのデジタル機器での採用が期待されます。

 そこで当社は、モバイル機器向けアンテナのラインアップを拡充し、事業の拡大を目指すために、ソニー株式会社とTransferJetに関するライセンス契約を結び、TransferJetに対応した小型カプラを開発しました。
 当社では、携帯電話機用内蔵アンテナで培った小型化技術を活かし2001年よりノートPCなどのモバイル機器に内蔵する無線用アンテナを手がけております。良好なアンテナ特性と安定した品質により高い評価を頂いており、これまでにノートPC向けアンテナでは累計1億5千万個以上の納入実績を持っております。
 今回開発した小型カプラは、電波の送受信の役割を果たす放射素子と、放射素子へ給電する細径同軸ケーブルで構成されています。モバイル機器に搭載されることから放射素子の小型化が要求されますが、放射素子は、一般的に小型化に伴い、周波数帯域の減少やアンテナの感度低下を起こす傾向があります。
 今回当社では、こうした課題に対応するために、放射素子の形状に当社独自の設計技術を施すとともにコンデンサの容量値を最適化することで、最大560Mbpsのデータ転送に必要となる周波数帯域4.20~4.76GHzの確保と、高感度な3cm以内の近距離無線通信を実現するとともに、厚さ1.6mmの薄型化に成功しました。
また、2層プリント基板などの汎用的な材料で放射素子を成形することが可能であることから、量産性に優れ、安価にご提供することができます。2009年12月よりサンプル出荷を開始しており、2010年3月より量産開始を目指します。

 今後、当社では、さらなる小型化・薄型化への開発に注力するとともに、ラインアップを拡充することで、2011年度に小型カプラで売上高3億円/年を目指してまいります。

以上

*1 TransferJetは、ソニー株式会社の登録商標です。
*2 UWBは、Ultra-Wide Bandの略で、1GHz程度の広い周波数帯の送受信を行う無線通信方式です。
*3 FeliCaは、ソニー株式会社の登録商標です。
*4 NFCは、Near Field Communicationsの略で、10cm程度のごく近距離で100~400kbpsの双方向通信が可能な短距離無線通信規格です。

小型カプラ 仕様

項目 仕様
外形寸法 20×20×1.6(mm)
20×20×2.4(mm)
20×20×3.2(mm)
周波数 4.20~4.76(GHz)
結合強度 |S21|>-25(dB)
フラットネス(結合時) <3.0(dB)
非結合強度 |S21|<-50(dB)
サンプル価格 \1,000/個 (5個~)

小型カプラ外観