2009年 旧 日立電線ニュースリリース
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屈曲性を高めた表面処理付き圧延銅箔「OFC-HX」を開発
日立電線株式会社はこのたび、無酸素銅(純度99.96%以上)を用い、従来のタフピッチ銅(純度99.90%以上)を用いた圧延銅箔よりも屈曲性を5倍以上も高めた*1 表面処理付き圧延銅箔「OFC-HX」を開発し、2009年12月より量産を開始いたしますので、お知らせします。
圧延銅箔は、鋳造した銅塊を圧延機により薄く延ばしたもので、主にFPC*2 の導体や、リチウムイオン二次電池の負極集電体として用いられます。圧延銅箔は、電気分解により薄く析出した銅を連続的に引き剥がして製造する電解銅箔に比べ、屈曲性や強度に優れることから、主に携帯電話の折り曲げ部分などのFPCに利用されております。近年、携帯電話などのモバイル機器は、ますます小型・薄型化しており、これらに用いられるFPCなどの内部配線は、より狭いスペースで使用されております。このためFPCの導体となる圧延銅箔にも、これまで以上に高い屈曲性が求められております。
当社は、こうしたニーズに応えるために、無酸素銅をベースにした表面処理付き圧延銅箔「OFC-HX」を開発し、2009年12月より量産を開始いたします。
OFC-HXは、99.96%以上の高い純度を持つ無酸素銅をベースにした表面処理付き圧延銅箔です。これまでの一般的な圧延銅箔と異なり、銅箔内部に亀裂の原因となり得る不純物を極限まで排除しております。
これに加え、FPCの材料となる銅張積層板の製造時に掛かる熱量で、銅の結晶方向が均一に揃うように設計しており、屈曲運動によって発生する金属疲労が蓄積しにくくなっております。
こうした不純物の低減と最適な結晶状態を実現したことにより、タフピッチ銅を使用した圧延銅箔に比べ5倍以上の屈曲性を持っております。
また、表面処理においては、粗化の均一性を向上させ、緻密な凹凸の銅箔表面を実現しております。これにより、基材樹脂との密着性が向上するとともに、導体配線を微細化するのに適した構造となっております。
今後、当社では、さらなる屈曲性の向上など、お客様の用途に合わせた表面処理付き圧延銅箔の開発に注力するとともに、圧延銅箔事業の強化・拡大を図ってまいります。
以上
*1 | 当社製のOFC-HX箔(厚さ12µm)とタフピッチ銅圧延箔(厚さ12µm)での比較によります。 |
*2 | FPCとは、Flexible Printed Circuits(フレキシブルプリント基板)の略です。 |
屈曲試験結果(300℃×5分加熱後の銅箔単体での測定値)
(IPC-TM-650、R=1.0mm、試験速度1500cpm、ストローク10mm)