日立電線株式会社はこのたび、国内メーカーでは先行して、欧州標準規格であるEN規格*1 に適合した鉄道車両用ノンハロゲン電線「POLYENEX」*2 を開発しましたので、お知らせします。

　近年、鉄道輸送は、輸送量に対するエネルギー消費量とCO₂排出量が少なく、地球環境負荷低減につながることから注目されております。特に欧州やアジアを中心とする海外市場では、活発に鉄道網の整備が進んでおり、これを受け、海外における鉄道車両および部材への需要も高まっております。
これまで鉄道車両および部材は、各国独自の規格によって要求仕様が定められておりました。そうした中、EUでは、EU加盟国内における貿易の円滑化と、産業水準の統一を図るために、地域統一規格としてEN規格が検討され、現在、鉄道分野に対しても適用が始まっております。また、EN規格は世界的にも認知度が高く、EU地域をはじめとする海外市場における鉄道車両および部材は、EN規格への対応が求められるようになっております。

　当社は、各種電線・ケーブル製造で培った技術を活かし、以前より車体配線および車載機器に用いられる鉄道車両用電線を手がけております。安定した品質の点で高い評価を頂いており、新幹線、在来線車両および地下鉄車両などに用いられる様々な種類の電線をご採用いただき、国内市場においてトップシェアを獲得しております。
また、1980年代より輸出車両向けの鉄道車両用電線の製造を行っており、台湾高速鉄道700T車両、英国高速鉄道Class395車両などへの納入実績を持っております。これまでは、各国の規格に対応した鉄道車両用電線を開発・製造しておりましたが、今後、成長の見込める海外市場への取り組みを強化していくためにEN規格に対応した鉄道車両用電線の開発が当社の課題となっておりました。

　そこで、このたび当社は、国内メーカーでは先行して、EN規格に対応した鉄道車両用ノンハロゲン電線「POLYENEX」を開発しました。
EN規格は、難燃性や耐久性など、部材に要求される多くの特性を並立させることが求められており、特に、高難燃性や、ケーブル燃焼時に人体への影響を少なくするよう低発煙性、低毒性などの火災安全性が重視されております。今回、開発したPOLYENEXでは、柔軟なエラストマーをブレンドしたエンジニアリングプラスチックや優れた耐油・耐燃料油性を付与した架橋ポリオレフィンを主体とする被覆材料を用いることで、各種要求特性の並立を実現しております。

　今後、当社では、鉄道車両用電線の性能向上に向けた開発に注力するとともに、POLYENEXのラインアップを拡充していくことで鉄道車両用電線の拡販を図ってまいります。

以上

*1	ENは、European Normの略語です。
*2	POLYENEXは、日立電線株式会社により商標登録出願中です。

POLYENEXの主な製品ラインアップ

用途	製品名	定格電圧	定格温度	外観
制御用	POLYENEX EN50306-2	300V	105℃
	POLYENEX EN50306-4 3E	300V	105℃
動力用	POLYENEX EN50264-3-1	600V、1800V	90℃