2009年 旧 日立電線ニュースリリース

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ITER向け超伝導ケーブル用製造設備を新規導入

 日立電線株式会社はこのたび、電線・ケーブルの生産拠点である日高工場において2009年8月の本格稼動を目処に、ITER(国際熱核融合実験炉)向けに使用される超伝導ケーブルの製造設備を新規に導入しましたので、お知らせします。

 核融合エネルギーはCO2を排出しないことから、環境負荷の少ない次世代のクリーンエネルギーとして期待されております。こうした中、平和目的の核融合エネルギーが科学技術的に成立することを実証するために、人類初の核融合実験炉を実現しようとする超大型国際プロジェクト「ITER計画」が、2018年の運転稼動を目指し、日本、EU、ロシア、米国、韓国、中国、インドの七極により進められております。日本では、独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下、「JAEA」と呼ぶ)が、機器の製作とITER機構への人的貢献の窓口の役割を果たしております。

 ITERでは、実験炉内で核融合を起こすために、1億℃以上の超高温プラズマを強力な磁場で閉じ込めます。その磁場を長時間発生させるためにトロイダル磁場コイルと呼ばれる超伝導コイルが用いられます。当社は、2008年3月にJAEAよりITER計画の第一次調達分としてトロイダル磁場コイルに用いられる超伝導素線(Nb3Sn)および超伝導ケーブルを合計約20億円で受注しております。これに合わせ、安定した品質を確保するとともに量産態勢を整えるためにITER向け超伝導ケーブル製造用設備として、日高工場において、より線機を新規に導入いたしました。
超伝導ケーブルは、超伝導素線(約1,000本)と銅線(約500本)の異種素線を直径約40ミリメートルにより合わせたもので、12T(テスラ)の強磁場中において68kAの電流を流すことができます。今回、新たにこれら異種素線をより合わせる工程に最新鋭のより線機を導入することで、生産性を向上させるとともに、より高品質な超伝導ケーブルをご提供することが可能となります。2009年8月より本格稼動を行い、2010年までに約4,500mを納入する予定です。

 当社グループでは今後も、次世代のクリーンエネルギーの進展に向けて積極的に研究・開発に取り組むとともに、超伝導事業の拡大・強化を図ってまいります。

以上

日高工場の概要

所在地
茨城県日立市日高町5-1-1
工場長
川端 俊介
従業員数
1,004人(2009年3月末現在)
敷地面積
626,000m2
建物面積
270,000m2
主な生産品目
通信ケーブル、絶縁線、原子力設備用ケーブル、輸送用電線

参考:超伝導ケーブルの構造イメージ図(JAEA殿ご提供)