2009年 旧 日立電線ニュースリリース
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次世代µBGA「Mx µBGA」の量産を開始
― 汎用PC分野へのµBGA採用を目指す ―
日立電線株式会社はこのたび、従来のµBGA*1 と基本構造を変えずに、低コストを実現する「Mx µBGA」*2 を開発し、量産を開始することになりましたのでお知らせします。従来のハイエンド分野だけでなく、ボリュームゾーンである汎用PC分野のDRAMへの採用を目指します。
µBGAは主にDRAM*3 用の半導体パッケージとして使用されております。µBGAは半導体チップとTAB*4 テープの間にエラストマと呼ばれる緩衝材を設けており、チップとTABテープ、そして実装基板に掛かる過酷な温度変化に対し、熱応力を緩和し、高い基板実装信頼性を実現しております。また誘電率の低いポリイミドを基材として使用しており、さらにはTABテープ上に形成したインナーリードで直接チップと接合することから、信号波形のゆがみが小さく、高速伝送特性を備えています。
こうした信頼性、伝送特性の面で高く評価され、主にサーバーやデジタル家電などのハイエンド分野に採用されており、今後主流になるとされるDDR3DRAM*5 の半導体パッケージとしても、高速デバイスの特性を充分に引き出すメリットから採用されております。
しかしながら、コストの面においては競合パッケージであるBOC*6 に比べ厳しい評価を受けており、DRAM市場におけるボリュームゾーンである汎用PC分野への採用は一部に限られ、BOCが主流となっていました。このためDRAM市場におけるµBGAのシェアは小さく、売上は限られておりました。
こうした中、当社では、µBGAの売上を伸ばすために、µBGAの高信頼性、高速伝送特性などの特長をいかしつつ、汎用PC分野においても魅力的なコストを実現する「Mx µBGA」を開発しました。「Mx µBGA」は、半導体パッケージの基板となるTABテープの製造において、COF*7 テープで培った158mm幅ラインの広幅製造技術を活用するとともに、TABテープのレイアウトを見直し、生産効率を向上させ、BOCと同等以下のコストを実現することができました。
また当社内にシート方式の実装ラインを構築し、多くの実装メーカーが保有する設備にも対応できるパッケージ実装技術を確立しました。
BOCはシート方式の実装であるのに対し、従来のµBGAはリール to リール方式の実装であったため、µBGAを採用いただくためには、実装メーカーにおいて専用設備の導入が必要でした。今般、シート方式での実装技術の開発に成功したことにより、お客様である実装メーカーにおいては、「Mx µBGA」の採用の際に、既存の実装インフラが利用可能となり、そのため、設備投資を最小限に留めることができます。
このように、「Mx µBGA」はTABテープ、実装の両面で十分なコスト競争力を有することから、汎用PC分野において、より多くのお客様での採用が期待できます。当社は、今般開発した「Mx µBGA」のTABテープ及び実装について、2009年5月より本格量産を開始いたします。
当社では、今後ともお客様のニーズを満たすパッケージ技術の開発に努めるとともに、コスト競争力を磨くことでDRAM用パッケージ基板におけるµBGAのシェア拡大を図ってまいります。
以上
*1 | µBGAはTessera社の米国登録商標です。 |
*2 | Mx µBGAはMatrix µBGAの略です。Matrix状にICパッケージを配置し、生産効率の高めたTABテープを用い、シート方式の実装に対応した半導体パッケージのこと。 |
*3 | DRAMはDynamic Random Access Memoryの略です。 |
*4 | TABはTape Automated Bondingの略で、フィルムを使った半導体パッケージ材のこと。 |
*5 | DDR3 DRAMはDouble-Data-Rate3 Dynamic Random Access Memoryの略で理論上DDR2 DRAMの2倍のデータ転送速度を実現する。 |
*6 | BOCはBoard On Chipの略で、半導体パッケージの形態の一つ。主にDRAMに使われている。基材にガラスエポキシ材を使用することが多く、ボンディングワイヤーでチップと接合する。 |
*7 | COFはChip On Filmの略で、2層基材を用いた液晶ドライバーICを搭載するパッケージ材のこと。 |