2006年 旧 日立電線ニュースリリース

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バッキングプレートの製造能力を増強

 日立電線株式会社は、液晶パネル、半導体素子、DVD等の記録メディア等の製造装置であるスパッタリング装置に使用されるバッキングプレートの需要増加に対応するために、2007年2月の稼動を目処に、土浦工場のバッキングプレートの製造能力を増強することといたしました。

 バッキングプレートは、液晶パネル、半導体素子、DVD等の記録メディア等の製造工程で使用されるスパッタリング装置において、ターゲット材の冷却板とスパッタ電極としての役割を担うものです。そのため、バッキングプレートの材料には高い導電性、熱伝導性のほか、真空中で使用されるために低ガス放出性が求められ、これらの特性に優れた銅が主に使用されています。
 冷却性能の高い水冷式のバッキングプレートを製造する際には、バッキングプレート内部に冷却水路を形成するために、本体に溝を掘り、蓋を接合した後、表面を切削加工いたします。従来、本体と蓋の接合には電子ビーム溶接が使われてきました。しかし、電子ビーム溶接は、熱の影響によるゆがみの発生や、接合部周辺の軟化が起こりやすいといった問題がありました。
 そのため、当社では2001年から、バッキングプレート本体と蓋の接合に際し、接合時の温度上昇が低いために熱によるゆがみが小さく、接合部の強度に優れた「摩擦攪拌接合」を世界で初めて銅製バッキングプレートの量産に適用し、高品質の大型バッキングプレートの製造を行っております。

 近年、液晶パネルを使用する薄型テレビの市場の伸長や、DVDの普及、新規格DVDの登場等により、これらの製造装置への需要が拡大しており、バッキングプレートに対する需要も増加しております。この需要に対応するため、当社では、土浦工場のバッキングプレート製造設備に対して総額約5億円の投資を行うことを決定いたしました。主に機械加工設備及び摩擦攪拌接合設備増設等の増強を図る予定です。これにより、バッキングプレートの売上高は、2006年度約20億円から、2007年度には約30億円になるものと見込んでいます。

 当社では、バッキングプレートの需要増加に対応する供給能力を整備するとともに、素材である銅材料の一貫メーカであるメリットを活かし、より放熱特性に優れた構造を持つバッキングプレートや、耐熱性や強度に優れたバッキングプレート用素材等の開発を進めることで、より一層のサービス向上を図ってまいります。

以上

バッキングプレートの使用方法

  • スパッタリング装置図

摩擦攪拌接合の原理

 摩擦攪拌接合の基本原理は、1991年にTWI(The Welding Institute/イギリスの公立溶接研究所、現TWI社)が発明したもので、回転する工具を接合する部分に挿入し、接合部に沿って工具を移動させることで接合するもの。接合する材料と回転する工具の間で発生する摩擦熱を利用し、摩擦熱で軟化した材料を回転する工具で混ぜ合わせ接合する。このように摩擦攪拌接合は、従来の電子ビーム溶接といった接合方法とは全く異なり、材料を溶かさない方法であるため、接合後の材料の変形や反りを極めて小さくすることができる画期的な接合方法である。

 これまで、摩擦攪拌接合はアルミ合金を対象に鉄道車両や船舶の構体等に実用化されていたが、銅合金については、研究段階にとどまっていた。しかし、当社と株式会社日立製作所殿は、共同研究において、工具や接合条件などを検討することにより銅の摩擦攪拌接合の実用化に成功するとともに、それを応用して2001年に世界で初めて摩擦攪拌接合による銅バッキングプレートの量産を開始した。

  • 図

土浦工場の概要

所在地 茨城県土浦市木田余3550
工場長 弓野 茂
従業員数 790名(2006年3月20日現在)
敷地面積 552,000m2
建物面積 134,000m2
主な生産品目 銅条、銅管、電気用伸銅品他