2003年 旧 日立電線ニュースリリース
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デスクトップパソコン、サーバ等向け冷却能力150W(0.23℃/W)の
液冷モジュールを開発
このたび当社は、従来に比べ大幅に放熱性能を向上させた、冷却能力150W(0.23℃/W*1)のデスクトップパソコン、サーバ等向け液冷モジュールを開発し、販売を開始いたします。
パソコンに代表される電子機器はその性能が向上するにつれて、搭載されるCPU等半導体素子の発熱量が増大してきており、その冷却がますます重要になってきています。従来、一般的に用いられている空冷ファン方式では、放熱性や騒音の問題から必要な冷却性能を確保できず、機器の設計に制約がありました。この問題を解決するため、液冷方式の冷却モジュールが注目されています。
液冷モジュールは、作動液を循環させるポンプ、被冷却物に接続され熱を作動液に伝える受熱部、空気中に熱を排出する放熱部、それらを連結するフレキシブルチューブで構成されています。ポンプにより作動液を循環し、被冷却物の熱を効率よく作動液に伝え、放熱部で拡散し、空気中に放出することで冷却する仕組みです。当社では、株式会社日立製作所(以下、日立製作所といいます。)より、静音冷却技術の製造に関する技術供与を受け、液冷モジュールを開発し、現在、日立製作所の水冷ノートパソコン用に量産供給しております。
当社では、この液冷モジュールの拡張版として、デスクトップパソコン、サーバ等向けに、より冷却性能を高めたモジュールの検討を行ってきました。そして、このたび、液冷モジュールの受熱部に独自構造の高効率ジャケットを用いるとともに、放熱部にコンパクトなラジエーターと冷却ファンを設置することで大幅に放熱性能の向上を実現した、冷却能力150W(0.23℃/W)の液冷モジュールの開発に成功いたしました。
フルタワー型のデスクトップ筐体に、市販のインテル社Pentium(R)4*2プロセッサ/3.06GHz(81.8W)を搭載した試作機での検証では、100%駆動時において、従来一般的に用いられている空冷ファン方式に比べ、プロセッサの温度上昇を35%減少させることができました*3。
本液冷モジュールでは、受熱部のジャケットを増設し連結することにより、複数の素子を冷却することも可能です。また、ラジエータ部の冷却ファンの選定で風量を変更することにより、冷却性能を決定でき、冷却性能、静音化のどちらを優先するか選択することが可能*4であるほか、ジャケット、ラジエータ等の主要構成部品は、標準部品として要求性能に応じたラインアップを揃える予定ですので、コスト低減が可能になります。
本液冷モジュールは、2003年上期中を目処に販売を開始する予定で、3年後には年間2億円程度を見込んでおります。
当社では、本液冷モジュールの高冷却性能、複数の発熱源に対応可能という特徴から、パソコン分野にとどまらず、AV機器などの家電製品から医療機器まで様々な分野に応用できると考えております。また、本液冷モジュールに加え、エアコン用銅伝熱管や半導体用ヒートスプレッダ等の銅素材を基盤に、銅の高伝熱性を利用した、ヒートパイプモジュールや銅製フィン付ヒートシンク等の冷却製品をもって、トータルでのサーマルソリューションを提供してまいります。
本製品の製造を行う事業所
〒300-0026 茨城県土浦市木田余3550番地 当社土浦工場
本製品に関するお問合せ先
伸銅事業本部 伸銅事業部 TEL03-5252-3619
製品企画開発室 TEL029-826-7370
*1 | ℃/W:1Wの熱を運ぶのに必要な温度差。数値は当社試作機による検証によるもの。 |
*2 | Pentium(R)は米国インテル社の登録商標です。 |
*3 | 検証結果は、筐体外空気温度35℃として換算したものです。デスクトップ型筐体に搭載した場合、当社の液冷モジュール(冷却用のファンを設置した場合)では、CPUの温度が53.0℃に抑制できるのに対して、空冷モジュールでは62.7℃まで上昇します。なお、比較対象となる空冷モジュールによる検証についても、Pentium(R)4のリテール品の空冷モジュールを使用し、当社が独自に行ったものです。また、今回の試作機ではプロセッサと同時にチップセットも冷却を行い、温度上昇を35%低減しています。 |
*4 | キューブ型筐体に搭載し、冷却能力100Wとした場合、駆動音は33dBとなります。 |
システム構成例
(1)スタンダードモデル (電源部のファンを利用) |
(2)ハイパフォーマンスモデル (液冷用にファンを設置) |