2003年 旧 日立電線ニュースリリース

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このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。


NTTエレクトロニクス株式会社
日立電線株式会社
アルカテルオプトロニクス

DWDM用「制御回路付きAWG/VOAモジュール」の標準化を3社で推進
-設計期間の短縮、小型化、在庫コストの削減に効果大-

 PLC*1製品の主要メーカーであるNTTエレクトロニクス株式会社(以下NEL)と日立電線株式会社(以下日立電線)およびアルカテルオプトロニクス(以下アルカテル)の3社は、3月19日、高密度波長多重(DWDM;*2)伝送装置の主要部品となる、制御回路付きAWG*3/VOA*4集積化モジュール製品についてマルチソースアグリーメント(MSA)を締結し、その仕様規格を共通化しました。

 本製品の特徴は、異なる波長の光信号を束ねたり分けたりする光合分波器(AWG)と光信号強度を調整する可変光減衰器(VOA)およびVOAの減衰量を調整する制御回路を一つのモジュールの中に集積したことにあります。

 本MSAでは、40chAWG/VOAモジュールのパッケージ外形寸法、電気ピン配置、制御用インターフェース(I2CTM;*5)および制御するためのソフトウエアを共通化しています。基本構成は、AWG、VOAおよびその制御回路からなりますが、オプションとして、各チャネル信号の出力をモニタするための光検出器を装備したものも用意されています。

 挿入損失やクロストーク等の光特性については、本MSAの対象外ですので、お客様の仕様に合わせて各メーカーごとにカスタマイズすることが可能です。

 業界をリードする主要3社がMSAを締結し、仕様を標準化したことにより、装置メーカーは複数の供給先から同じ仕様のモジュールを購入できるため、装置設計期間の短縮、小型化、在庫コストの削減等が期待できます。


 なお、本製品は、アメリカ(アトランタ)で開催の「OFC2003(Optical Fiber Communication Conference)」に併設する展示会(3月25日~27日)に出展します。

 本MSAでは、お客様のニーズ・意見をうかがいながら、対象製品を増やしていく予定です。なお、本MSAはオープンなフォーラムですので、他のAWG/VOAモジュールメーカーの新規加入を歓迎いたします。より詳細な技術仕様、MSAへの加入につきましては、下記メンバーの担当者までご連絡願います。

・アルカテルオプトロニクス Mark Hesketh:mark.hesketh@alcatel.co.uk
・日立電線 氷見進:himi.susumu@hitachi-cable.co.jp
・NTTエレクトロニクス 姫野明:himeno@photo.nel.co.jp

背景

 通信サービスのブロードバンド化に伴い、伝送容量の増大が求められています。その解決策の一つとして、1本の光ファイバに複数の異なる波長の光信号を多重伝送する「高密度波長多重(DWDM)伝送システム」が開発されました。この伝送システムのキーデバイスは、波長合分波器(AWG)と可変光減衰器(VOA)です。AWGは複数の異なる波長の光信号を束ねたり分けたりするデバイスで、VOAはこれらの複数の異なる波長の光信号のレベルバラツキを調整して揃えるデバイスです。いずれも、量産性の優れた平面光回路(PLC)で作ることができます。

 DWDM伝送する場合、増幅器の利得特性や伝送路の損失抵抗により、受光器に到達する信号光強度は、各波長ごとに不揃いになります。波長間で信号光強度にバラツキがあると、正常な受信が行えない場合が生じますので、波長ごとの信号光強度を調整することが必要になります。この波長ごとの信号光強度を調整するのがVOAであり、光強度が大きい場合は減衰量を大きくして信号光強度が許容値内になるように調節します。このためには、各波長ごとの信号光強度をモニタし、VOAの減衰量を調節する制御機構が必要になります(図1)。

 従来、装置メーカーは、これらに対しAWGとVOAを個別の部品として購入し、個々の部品特性の個体差を意識しながらアセンブリし、制御機能と制御ソフトウエアを開発しなければならず、これが、設計・製造期間の長期化、在庫コストの増大の原因となっていました。

 お客様の装置設計に関する利便と小型化、互換性による在庫コストの削減に効果があると共に、部品メーカー製品の高付加価値化を考えた結果、AWG/VOAモジュールの標準化は必須との判断から、本MSAは、2003年12月から準備を進め、最も需要の多い40chモジュール製品の機械的および電気的な部分の標準化について、具体的に検討を重ね合意に至りました。

各社のコメント

  • NELの中原基博常務取締役
    「このような集積光部品は、DWDM装置メーカーが待ち望んでいた製品の1つだと考えます。この製品は、装置メーカーにとって多くのメリット(装置の小型化に寄与する、装置設計の改変が容易にできる、サブシステムのアセンブリ要員を省くことができる等)をもたらすからであります。これを契機に、NELはハードウエアとソフトウエアを含んだ高付加価値光製品に注力していきたいと考えています」
  • 日立電線の大久保誠一取締役
    「光ネットワーク装置メーカーが大胆な構造改革を行っている状況下では、設計の省力化やコストダウンのため、機械的および電気的インターフェースと制御用ソフトウェア等を標準化した、高機能かつ多機能な光部品の需要が高まっています。本MSAはこの流れに向けた重要な第一歩であります。今後も、積極的に他社とのMSAを進めていきたいと考えます。」
  • アルカテルのフィリップ・ブレギ(Philippe Bregi)最高執行責任者(COO)
    「現状では、お客様にとっての最重要課題は、コスト、大きさ、消費電力の削減です。このためには、ハイブリッド集積化が正しい方向であると考えます。このMSAにより、PLCを基礎にした革新的な製品をお客様に供給できるようになったと言えます。」

図1 AWG/VOAモジュールのブロック構成

(a) AWG/VOAモジュール(タイプ1)

  • (a) AWG/VOAモジュール(タイプ1)の図

(b) AWG/VOAモジュール(タイプ2)

  • (b) AWG/VOAモジュール(タイプ2)の図

用語の説明

*1 平面光回路(PLC;Planar Lightwave Circuit)
シリコンや石英基板上に、光の通るコア部とそれを囲むクラッド部からなる光回路を形成し、その回路パターンにより、光信号の合波や分波など各種機能を実現するもの。
*2 波長多重(DWDM;Dense wavelength division multiplexing)
信号の伝送容量を効率よく増大させるために、1本のファイバに複数の波長の異なる光信号を多重させて伝送を行なう方法を波長多重(WDM;Wavelength division multiplexing)方式といいます。より多くの波長を多重化させる場合は、特に高密度波長多重(DWDM)方式という場合がありますが、WDMもDWDMも区別せず、単に「波長多重」と呼ばれる場合もあります。
*3 AWG(Arrayed Waveguide Grating;アレイ導波路格子)
波長多重伝送システムにおいては、複数波長の光を1本の光ファイバで伝送させるため、送信側においては複数波長を1本に多重する必要があり、受信側においては多重化された光信号を波長毎に分波する機能が必要となります。この多重化や分波する機能を持ったデバイスを波長合分波器といいます。AWG(Arrayed Waveguide Grating)は、その機能を平面光回路を用いて実現する一つの方式で、DWDM伝送システムで最も広く用いられています。
*4 VOA(Variable Optical Attenuator;可変光減衰器)
導波路を伝搬する光の強度を調整させる装置です。DWDMの各信号ごとの信号光強度を等しくするために用いられます。
*5 2CTMバス(Inter IC Bus)インタフェース:Philips社が提唱しているシリアルバスインタフェースです。

本件に関するお問い合わせ先

NTTエレクトロニクス株式会社

経営企画部  萩原 昇
電話:03-5456-4192、FAX:03-5456-4323

 

日立電線株式会社

総務部 広報グループ  小圷 光
電話:03-5252-3261、FAX:03-3214-5779

 

Alcatel Optronics(アルカテルオプトロ二クス)

Guy Mesquid
TEL: 33(0)164494903

会社概要

NTTエレクトロニクス株式会社の会社概要(URL:http://www.nel.co.jp/
NTTの先端技術をベースに、光デバイス、光半導体、超高速電子デバイス、MPEG-2等マルチメデイア製品およびネットワーク製品を製造・販売。光デバイスとしては、AWG、VOA、光スイッチ、レーザダイオード、フォトダイオード等のDWDMのキーデバイスやスプリッタ等のFTTH部品の製造・販売。

日立電線株式会社の会社概要(URL:http://www.hitachi-cable.co.jp/
各種の光ファイバケーブル、携帯電話基地局用アンテナ、広域イーサネット(注6)やFTTH用機器、光トランシーバなどを幅広く製造・販売し、情報通信に必要なソリューションを提供。平面光回路技術を駆使して、AWG、波長スプリッタなどのDWDMシステムの基幹部品を製造・販売。   (注6)イーサーネットは、富士ゼロックス(株)の登録商標です。

アルカテルオプトロニクスの会社概要(URL:http://www.alcatel.com/optronics/
地上および海底光通信ネットワークに使われる光部品およびサブシステムを設計製造。WDMレーザ、光検出器、光増幅器、およびAWGに代表されるパッシブデバイスのトップメーカー。アクティブとパッシブの集積化にも経験がある。アルカテルの光部門である。