2002年 旧 日立電線ニュースリリース
このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
NTTエレクトロニクス株式会社
日立電線株式会社
アルカテルオプトロニクス
DWDM装置のキーデバイス「AWG」の標準化を3社が推進
設計期間の短縮・在庫削減に効果大
平面光回路部品*1の主要メーカーであるNTTエレクトロニクス株式会社(以下NEL)と日立電線株式会社(以下日立電線)およびアルカテルオプトロニクス(以下アルカテル)は12月4日、光波長多重(DWDM;*2)伝送装置のキーデバイスとなるAWG(Arrayed Waveguide Grating;*3)製品において、マルチソースアグリーメント(MSA)の締結に合意いたしました。
本MSAは段階的に行われますが、今回の標準化は、需要の多い温度制御型AWGの機械的および電気的部分を対象にしており、具体的には、48chまでのAWGのパッケージ外形寸法、ヒータ抵抗、ピン配置、およびソフト等について規定しております。挿入損失、クロストークのような光特性についてはMSAの対象外ですので、お客様の仕様に合わせてカスタマイズすることが可能です。
業界をリードする主要3社がMSAを締結し、仕様を標準化することにより、お客様は複数の供給先から同じ仕様のAWGを購入できるため、AWGを使用する伝送装置等の設計期間を短縮できる上、在庫を減らすことができます。一方、本MSAメンバーは、AWGの製造期間を短縮(1/2~1/3)できるほか、コストを削減できるメリットがあります。
今後、本MSAでは温度制御型AWGのほかにも対象製品を増やしていく考えです。なお、本MSAグループはオープンなフォーラムですので、他のAWGメーカーの、本MSAへの新規加入を歓迎いたします。より詳細な技術仕様、MSAへの加入につきましては、下記のMSAメンバーの担当者までご連絡願います。
・アルカテルオプトロニクス Mark Hesketh: mark.hesketh@alcatel.co.uk
・日立電線 氷見進: himi.susumu@hitachi-cable.co.jp
・NTTエレクトロニクス 姫野明: himeno@photo.nel.co.jp
背景
情報通信サービスのブロードバンド化に伴い、伝送容量の増大化が求められています。その解決策の一つとして、1本の光ファイバに複数の異なる波長の光信号を多重伝送する「波長多重(DWDM)伝送システム」が開発されました。この伝送システムのキーデバイスが波長合分波器(AWG)です。AWGは複数の異なる波長の光信号を束ねたり分けたりするデバイスで、平面光回路で構成され、量産性に優れており、数多くのDWDMシステムに導入されております。
しかし、従来のAWGは、お客様の要求仕様に合わせて設計、製造されていたので、パッケージ外形寸法、ヒータ抵抗、ピン配置、ソフトウエア、特性等は、各社独自のものでした。この結果、製品の形状やピン配置等は統一性がなく、互換性がありませんでした。一方、AWGメーカーは、お客様の要求仕様に基づき、パッケージ外形寸法をはじめとして、機械的、電気的部分の全てを新規に設計しなければならず、これが、設計・製造期間の長期化、部品の少量購入、少量生産によるコスト高の原因となっていました。
お客様の利便を考えた結果、標準化は必須との判断から、本MSAは、平成14年6月から準備を進め、最も需要の多い温度制御型AWG製品群の機械的および電気的な部分の標準化について合意に至った次第です。
各社のコメント
- NELの中原基博常務取締役
「私自身も、NTT研究所でAWGの基礎研究を5年ほど経験した後、商品化を推進し、その商品を世界中に普及させるための努力を重ねてきましたが、本MSAにより標準化という仕上げの段階に入ったと言えます。今後も、こうした画期的製品を開発して、お客様に提供することによって貢献し続けて行きます」 - 日立電線の大久保誠一取締役
「このMSAにより機械および電気部分が標準化されましたので、お客様の開発負担の軽減等にも寄与できる上、AWGメーカーも、心臓部である光の部分に集中できます。このMSAは、お客様とAWGメーカーの双方にとって文字通り、Win-Winの成果と言えます。」 - アルカテルのフィリップ・ブレギ(Philippe Bregi)最高執行責任者(COO)
「今回のMSAはAWG技術が成熟段階にあり、システムメーカーに幅広く受け入れられていることを示しています。最近の価格低下、在庫削減という環境で共通基盤を作ることは最も重要であり、お客様にも我々にとっても有益となると思います」
用語の説明
*1 | 平面光回路(PLC;Planar Lightwave Circuit) シリコンや石英基板上に、光の通るコア部とそれを囲むクラッド部からなる光回路を形成し、その回路パターンにより、光信号の合波や分波など各種機能を実現するもの。 |
*2 | 波長多重(DWDM;Dense wavelength division multiplexing) 信号の伝送容量を効率よく増大させるために、1本のファイバーに複数の波長の異なる光信号を多重させて伝送を行なう方法をWDM(Wavelength division multiplexing)方式といいます。より多くの波長を多重化させる場合は、特に高密度波長多重(DWDM)方式という場合がありますが、WDMもDWDMも区別せず、単に「波長多重」と呼ばれます。 |
*3 | AWG(Arrayed Waveguide Grating;アレイ導波路格子) 波長多重伝送システムにおいては、複数波長の光を1本の光ファイバーで伝送させるため、送信側においては複数波長を1本に多重する必要があり、受信側においては多重化された光信号を波長毎に分波する機能が必要となります。この多重化や分波する機能を持ったデバイスを波長合分波器といいます。AWG(Arrayed Waveguide Grating)は、その機能を平面光回路を用いて実現する一つの方式で、DWDM伝送システムで最も広く用 いられています。 |
本件に関するお問い合わせ先
NTTエレクトロニクス株式会社
経営企画部
萩原 昇
電話: 03-5456-4192/FAX:03-5456-4323
E-mail:hagiwara@hqs.nel.co.jp
日立電線株式会社
総務部 広報グループ
小圷 光
電話: 03-5252-3261/FAX:03-3214-5779
E-mail:koakutsu.hikaru@hitachi-cable.co.jp
Alcatel Optronics(アルカテルオプトロ二クス)
Guy Mesquid
TEL: 33(0)164494903
guy.mesquida@alcatel.fr
会社概要
NTTエレクトロニクス株式会社の会社概要
(URL:http://www.nel.co.jp/)
NTTの先端技術をベースに、ハードからソフトにいたる幅広い技術分野をカバーした情報通信分野の優れたキーデバイスやシステムコンポーネントを提供。PLC光デバイス、光半導体、超高速電子デバイス、MPEG-2等マルチメデイア製品を製造・販売。
日立電線株式会社の会社概要
(URL:http://www.hitachi-cable.co.jp/)
各種の光ファイバーケーブル、携帯電話基地局用アンテナ、広域イーサネットやFTTH用機器、光トランシーバなどを幅広く製造・販売し、情報通信に必要なソリューションを提供。平面光回路技術を駆使して、AWG、波長スプリッタなどのDWDMシステムの基幹部品を製造・販売。
アルカテルオプトロニクスの会社概要
(URL:http://www.alcatel.com/optronics/)
地上および海底光通信ネットワークに使われる光部品およびサブシステムを設計製造。WDMレーザ、光検出器、光増幅器、およびAWGに代表されるパッシブデバイスのトップメーカー。アクティブとパッシブの集積化にも経験がある。アルカテルの光部門である。