2002年 旧 日立電線ニュースリリース

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DWDMシステム用光合分波器の新製品、低損失温度無依存AWGを開発

 当社はこのほど、高密度波長分割多重(Dense Wavelength Division Multiplexing以下DWDMといいます。)システム用光合分波器としてメトロから超長距離ネットワークまで幅広く適用できる低損失温度無依存AWG(arrayed waveguide grating)モジュールを開発、4月からサンプル出荷を開始いたします。

 通信のブロードバンド化が進む中、様々な技術を駆使した高速大容量光伝送ネットワークが構築されつつあります。中でも、波長分割多重(以下WDMといいます。)伝送は、一本の光ファイバに複数の光波長を伝送させることで、飛躍的に伝送容量をアップさせる技術で、新たに光ファイバケーブルを増設する場合と比較して、経済性に優れていることから積極的に採用が進んでいるものです。

 当社は、WDMシステムを構築するためのキーデバイスとして、ガラス基板上に光回路を形成する導波路技術を応用した光波長合分波器AWGを製造、販売してまいりました。一般に光波長合分波器には、導波路型、多層膜フィルタ型、ファイバ・ブラッグ・グレーティング型があります。導波路型は、現状48チャンネルの合分波が可能な製品が実用化されており、3つのタイプの中では、最も多チャンネルシステムの構築に向いています。しかしながら、合分波の光学特性を安定させるために、温度を一定に管理しなければならず、温度管理用のヒーター等が必要なことや、合分波器に光信号を通過させる際の挿入損失が大きいため、別途アンプが必要なことから、システムをより簡素化する必要があるメトロ・ネットワークにおいては、採用は困難とされていました。

 当社では、導波路に形成された微細な溝にガラスの屈折率温度特性を打ち消す光学接着剤を充填することにより、光学特性の温度依存性を打ち消す機能を実現させることで、2000年秋には、温度無依存型AWGの開発に成功しておりましたが、メトロ市場参入のためには、温度無依存AWGの損失低減が重要な課題として残されておりました。

 今回当社は、新たに開発した損失を低減する特殊なエッチング技術を駆使して3dB以下の低損失化を実現し、低損失温度無依存型AWGの開発に成功いたしました。これにより、メトロ市場でのAWGの採用を容易にし、多チャンネル化というAWGの優位性を発揮できるようになりました。

 また、従来AWGが採用されていた長距離ネットワークにおいても、ヒーター、アンプ等の使用を減らすため、温度無依存、低損失へのニーズが強くなっています。今回、独自の中心波長調整技術とCVD(Chemical Vapor Deposition)プロセスによる導波路形成技術により、温度無依存型では困難と思われていた+/-0.05nm以下の高い中心波長精度と+/-10ps/nm以下の低分散特性を実現したことで、低損失温度無依存AWGの長距離ネットワークでの採用も期待されます。

 パッケージサイズは、温度管理用のヒーターが不要なため、120mm×70mm×8mmと従来のAWGより体積で半分以下となります。また、使用可能なチャンネル数は16, 32, 40ch、波長間隔100GHzのサンプル販売を予定しております。

 さらに、当社では既に製品化したDWDMシステム向け波長スプリッタの温度無依存化や、低損失で波形が平坦な温度無依存AWGの開発にも取り組んでおり、これらも今年9月にはサンプル販売を開始する予定であります。

本製品の製造を行っている工場の所在地

〒319-1418茨城県日立市砂沢町880番地 高砂工場

本製品の仕様

項目 仕様
使用波長範囲 1.55µm帯
使用温度範囲 0-65℃
チャンネル数 16 32 40
挿入損失(typ) 3 dB以下 3.5 dB以下 4.0 dB以下
波長間隔 100GHz
トータルチャンネルクロストーク 20 dB以上
波長分散 +/-10ps/nm以下
中心波長精度(typ) +/-0.05nm以下
サイズ 120mm×70mm×8mm

低損失温度無依存AWG(arrayed waveguide grating)モジュール

低損失温度無依存AWG(arrayed waveguide grating)モジュールの画像