2001年 旧 日立電線ニュースリリース

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このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

地上波デジタルテレビ放送に向け送信所用製品を開発
放送事業者の投資費用削減に一役

 このたび当社は、地上波デジタルテレビ放送向けの新製品の開発に成功しました。放送事業者の設備投資費用削減のニーズに対応する製品として、大きな需要が期待されています。
 地上波デジタルテレビ放送は、東京・大阪・名古屋の三大都市では2003年末からの、全国では2006年からのサービスインが予定されており、現在、それにあわせて、デジタルチャンネル割り当てのため、現行のアナログ放送のチャンネル変換が進められています。これに続いてまもなく、地上波デジタルテレビ放送に向けて新しい設備の建設が始まりますが、当社としては、お客様にいかにコストパフォーマンスに優れたシステムを提案できるかが重要なポイントとなっています。

 当社は、1961年に給電線を開発し、以来、置局計画・システム設計から、アンテナ・給電線といった部品の開発・設計・製造、建設工事、その後のメンテナンスまで、トータルソリューションを展開してきており、テレビ放送関連設備において豊富な実績と高い技術力を誇っています。
 これらの経験を活かし、地上波デジタルテレビ放送用設備で特に要求されている、安価で信頼性の高いアンテナ、およびこれを用いた省スペースアンテナシステムの開発に力を注いできた結果、放送事業者の設備投資費用の削減に貢献できる下記2種類の製品の開発に成功したものです。

1.超広帯域双ループアンテナ・・・従来比約3倍の帯域に対応
  アンテナ素子と給電回路を高精度で整合することにより、従来の約3倍の帯域をもつ超広帯域双ループアンテナの開発に成功しました。(写真1)
 これまで、UHF帯(13~62ch)全体をカバーするためには、それぞれ対応する帯域の異なる4種類のアンテナが必要でした。このため、周波数が離れた複数のチャンネルを、ひとつのアンテナでカバーすることは困難でしたが、今回開発したアンテナは、2種類で全チャンネルをカバーできます。
 したがって、ほとんどの送信所でアンテナの共用が可能となり、建設費用の大幅削減を図ることができます。

2. マトリクス給電アンテナシステム・・・アレイアンテナの一部を2つのチャンネルで共用するとともに、それぞれのチャンネルにおいて、異なる垂直面指向性(チルト角)を得ることができます。
 送信設備建設では、費用や用地確保の問題から、既設のアナログ放送用の設備をデジタル放送用にも有効利用したいという要望が高くなっており、効率的なアンテナシステムの提供が求められています。
 今回開発したマトリクス給電アンテナシステムは、アレイアンテナの一部を、アナログチャンネルとデジタルチャンネルで共用するシステムです。(図1)
 チャンネルごとにアレイへの給電条件が比較的自由に設定できるため、アナログチャンネル、デジタルチャンネルにおいて、それぞれ異なる垂直面指向性(チルト角)が得られる製品となりました。
 このシステムを採用すれば、デジタル専用アンテナを全く別に増設する場合に比べて全体のアレイ長が短くなり、鉄塔強度に影響するアンテナの受風面積が小さくなるため、アンテナ増設に伴う鉄塔強度の問題を解決し、強化工事費用の削減に有効です。

 今回成功した「超広帯域双ループアンテナ」と「マトリクス給電アンテナシステム」は、地上波デジタルテレビ放送設備を効率的に整備するソリューションとして高い評価が得られるものと期待されています。
 当社はこれらの新製品を武器に、置局計画・システム設計から、アンテナ・給電線の納入、さらには建設工事までの一貫したトータルソリューションの提供によって、地上波デジタルテレビ放送分野において累計300億円以上の受注を目指しています。

 なお、本製品・システムについては、11月14日~16日に千葉県・幕張メッセにて開催される国際放送機器展(Inter BEE 2001)に、出展する予定です。

本製品・システムの開発・生産拠点

〒319-1418茨城県日立市砂沢町880番地 高砂工場

以上

写真1 超広帯域双ループアンテナ

  • 超広帯域双ループアンテナの写真

図1 マトリクス給電アンテナシステム

  • マトリクス給電アンテナシステムの図