2001年 旧 日立電線ニュースリリース

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「日立サーナルーフ」で屋上緑化用防水シート事業に本格参入
-二重防水システムの採用で信頼性が大幅に向上 -

 このほど当社は、屋上緑化用防水シート事業に本格的に参入することとしました。
 当社は、サーナフィル社(本社スイス、末尾(ご参考)参照。)と提携し、平成6年から屋根用防水シート「日立サーナルーフ」を販売していますが、定評のある耐候性に加え、耐根性にも優れた特長を有することから、屋上緑化用防水シート材として本格的な販売に乗り出すこととしたものです。

 都心部の気温分布が郊外に比べて高くなる“ヒートアイランド現象”を緩和する手段として、最近、屋上緑化が注目を集めています。また、屋上を緑化すると、ビルの省エネにも役立つほか、景観の向上、安らぎの場としての活用も期待できます。
 こうした背景から東京都では、「東京における自然の保護と回復に関する条例」 を改正し、本年4月から、敷地面積250m2以上の公共施設、1,000m2以上の民間施設の新築・改築では、利用可能な屋上の20%以上(公共施設は30%以上)を緑化するよう義務づけています。さらに、この5月には「都市緑地保全法」が改正され、自治体の認定する整備計画にしたがって屋上緑化をすると、固定資産税が5年間半額になるという施策が打ち出され、法的な面からも屋上緑化の普及促進が図られています。

 このようによいことづくめの屋上緑化ですが、一方、ビル・オーナーの方からは、根の成長による漏水を懸念する声が強く、防水に対する信頼性の向上が望まれていました。

 「日立サーナルーフ」は、こうしたニーズに応えるもので、屋根防水シートとしての基本的な性能はもちろん、屋上緑化やビオトープ(小生物の棲む空間)の植物に対する耐根性と高い信頼性が特長です。環境先進国のスイスやドイツなどでの数多くの実績をベースに、当社でも数年前から国内でこの分野の施工を行ってきましたが、屋上緑化に対する需要が今後益々期待できることから、このたび社内体制を整え、本格的に屋上緑化用防水シート販売に取り組むこととしたものです。

 「日立サーナルーフ」による屋上緑化の特長は、次の5点です。

(1)実績のある耐根性

 屋上緑化が一般化されている欧州では、草花、樹木それぞれの防水層の耐根性評価試験(注)が定められており、サーナルーフはいずれも貫通ゼロの結果が出ています。

* (注)防水層耐根試験(DIN 4062,SIA 280)
草花耐根性試験: ルピナスの種を植えて6~8週間後に根の貫通を調べる。
樹木耐根性試験: 根の強い指定植物(ニレ、ポプラ、野アザミの3種)を植え、4年間にわたり根の貫通を調べる。

(2)軽量化が可能

 防根シート、保護コンクリート等が不要となり、軽量なため荷重が制限される屋上においても緑化が可能です。

(3)優れた耐候性

 「日立サーナルーフ」は、厚さ1.2~2mmの塩ビ系シートです。特殊配合により可塑剤の飛散が少なく、また、溶着液を用いずに熱融着を採用することによるジョイントの一体化など耐候性に優れているのが大きな特長です。
 さらに、環境面を考慮した、塩素物質を含まない軟質オレフィン系シート「日立サーナルーフ T」もラインナップしています。

(4)2種類の工法を用意

 工法には、小規模な緑化に適した一般工法と、中高木用などの大規模な緑化を考慮した二重防水システム工法(塩ビ系シートのみ)の2種類があります。

(5)二重防水システム工法による高い信頼性、容易な補修

 二重防水システム工法は、はじめに屋上に「日立サーナルーフ」を敷きつめ、その上にさらにエンボス加工(突起付き*1)を施した「日立サーナルーフ」を敷く工法です。上部の「日立サーナルーフ」は、50m2未満の区画単位で、下部のシートと熱融着され、それぞれ独立した区画となります。この1区画に特殊な吸引口部品(インジェクション・パイプ)を取り付けて完成します。これにより、シート防水で弱点となりやすいジョイント部を含む下部シートの水密性を、区画単位で加圧もしくは真空テストにより数値確認できます。
 また、万一、施工後に漏水が発生した場合でも、真空テストにより、漏水区画の発見が容易で、インジェクション・パイプを通じて、当該区画にのみ二重防水シート間へ防水材を注入することにより簡単に止水できます。したがって、大掛かりな土壌等の一時撤去、再施工といった補修工事は不要で、10年以上という長期間安心してご使用いただけます。
・ 加圧テスト : はじめにジョイント部にリークディテクター(石鹸水)を吹き付け、その後でエアコンプレッサーにて二層間を加圧し、発泡しないことを確認する。
・ 真空テスト : 真空ポンプにて0.5気圧(380mmHG)に減圧し、5分後の圧力増加が0.1気圧(76mmHG)以下であれば合格とする。

(ご参考)サーナフィル社(Sarnafil International AG)の概要

(1)本社所在地:Industriestrasse,CH‐6060 Sarnen,Switzerland
(2)設立年:1958年
(3)資本金:278億円(397.1 million CHF)
(4)売上高:470億円(672.4 million CHF 1999年度)
(5)従業員数 :2,100名
(6)サーナルーフについて

1964年、サーナフィル社により開発された塩ビ系シート防水材。開発当初より機械的固定工法、全面接着工法、それぞれ工法別に製品を設計し、現在では世界各国で広く採用され、その優れた性能は、3億m2以上もの実績により実証されています。

語句説明

*1 エンボス加工(突起付き)を施した「日立サーナルーフ」
 漏水区画の発見等に使われる真空テストを行う際、シートが平滑だとシートどうしが密着してしまい、正しくテストができません。これを防ぐため、突起を付けたシートを使用します。

以上

この件に関するお問い合せ先

日立電線株式会社
総務部 広報グループ
〒100-8166 東京都千代田区大手町一丁目6番1号
TEL:03-5252-3261 FAX:03-3214-5779