2001年 旧 日立電線ニュースリリース

一覧へ戻る

このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

多チャンネルDWDM伝送をより簡単にする「導波路型1×4波長スプリッタ」を開発

 このたび当社は、高密度波長分割多重(Dense Wavelength Division Multiplexing以下DWDMといいます。)伝送システム用の導波路型1×4波長スプリッタを開発しました。本年10月より販売を開始する予定です。

 インターネットやマルチメディアサービスの広がりにつれて、最先端の伝送技術を用いた高速大容量光伝送ネットワークが構築されつつあります。なかでも、WDM伝送システムは、波長チャンネル数を増加させることで、情報伝送容量の需要増加に対応できるため、新たに光ファイバケーブルを増設する場合と比較して、経済性に優れていることから積極的に採用が進んでいるものです。さらに、ますます増加する情報伝送量に対応する方法の一つとして、10Gbit/sの高速伝送路においてDWDM伝送システムのさらなる多チャンネル化が進められています。

 多チャンネルDWDM伝送を行うためには、光合分波器そのものの多チャンネル化を進める方法もあります。しかし、1チャンネルあたりの波長間隔が狭くなるため、隣接するチャンネル間の信号分離を正確に行い、すべてのチャンネルが仕様に合うような光合分波器をつくることは非常に難しいといえます。

 そこで、注目されているデバイスが波長スプリッタです。波長スプリッタは、波長を合わせたり、分けたりするもので、波長スプリッタで合波する前および分波した後の波長間隔を数倍にできるため、光合分波器の設計が容易になります。

 当社では、既に今年1月に1×2波長スプリッタの量産を開始していますが、今後の情報伝送量の増加を見越して、さらに光合分波器の波長間隔を広げながら、DWDM伝送を実現させる製品の開発が求められていたものです。

 今回、開発した1×4波長スプリッタは、一挙に100GHz間隔から25GHz間隔への合波、または25GHz間隔から100GHz間隔への分波を行うことができます(図1)。これにより従来の1×2波長スプリッタを使用した場合に比べ、同じ波長帯域内に2倍のチャンネル数が収容されたDWDM伝送を容易に実現することができます。

 この製品の特性は、下記のとおりです。

(1) 高精度な導波路製造技術を用いて、分波波長誤差*1 0.01nm以下を達成しました。これにより、他方式では困難な25GHzという狭いチャンネル間隔を実現しました。
(2) 波長分散を相殺する設計の光回路を採用することにより、10Gbit/s等の高速信号伝送時におこる信号波形劣化を抑えました。
(3) 光回路の高密度集積技術を駆使して、低クロストーク特性(-30dB以下)を実現しました。
波長スプリッタは、多チャンネル化を容易にするだけでなく、既設のWDM伝送システムのチャンネル増設や、チャンネル増設が容易な新システムの構築が可能になるなど、システムの拡張性を高める機能もあるため、今後ますます需要が増加することが期待されています。

 当社では、今後3年間で、波長スプリッタ全体で約40億円の売上を見込んでおります。

*1 「分波波長誤差」
分波された信号の波長のずれ(誤差)。分波波長誤差が大きいと、損失・クロストーク特性が悪化します。

本製品の製造を行っている工場の所在地

〒319-1418茨城県日立市砂沢町880番地 高砂工場

表1.導波路型1×4波長スプリッタの仕様
項目 仕様
使用波長範囲 C-band、L-band
挿入損失 6dB以下
1.5dB帯域幅 14GHz以上
隣接チャンネルクロストーク -25dB以下
非隣接チャンネルクロストーク -30dB以下
波長分散 ±50ps/nm以下
サイズ 141mm×148mm×24mm

図1.1×4波長スプリッタの使用例

1×4波長スプリッタの使用例の図