2001年 旧 日立電線ニュースリリース

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このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

VOA付き光合波器モジュール「VOA-MUX」を開発

 このたび当社は、光可変アテネータ(VOA:Variable Optical Attenuator、以下「VOA」といいます。)と光合波器(MUX:Multiplexer)を一体化した光モジュール「VOA-MUX」を開発しました。

 VOAとは、波長毎に光信号の強さを調整する部品です。光ファイバアンプなどを使用して光信号を増幅する場合、波長により増幅率等が異なるため、受信側ではチャンネル毎に信号の強さにバラツキが発生してしまうという問題があります。したがって、チャンネル毎の信号の強さのバラツキを抑える技術が不可欠となります。このバラツキを抑えるのがVOAです。送信側にVOAを配置し、チャンネル毎の増幅率の違いや、伝送路損失の波長特性といった、光路の特性にあわせて光入力を調整することにより、受信側での光出力を一定にさせることができます。
 現在導入が進んでいる高密度光波長多重伝送(DWDM)*1)システムですが、次世代DWDMシステムにおいては、下記の点から光ファイバアンプを使用することが増えるため、VOAが必須のコンポーネントになります。

(1)光Add/Drop機能

 インターネットの普及、FTTH(Fiber To The Home)に代表されるラスト・ワン・マイルのブロードバンド化等により、急激な通信トラフィックの増加や多様なサービスに対する要望に柔軟に対応できる通信ネットワークが必要になっています。そこで、今後はサービスを止めることなく信号を新たに追加したり、数種の信号を伝送路内の中継局で分岐・挿入を行うことができる光Add/Drop多重システムが必要になってくると予想されます。このAdd/Drop装置を通過する際、光信号に損失が発生するため、その後、光ファイバアンプで増幅を行う必要があります。

(2)多チャンネル化

 長距離伝送をするためには、伝送途中で減衰する光信号を、光ファイバアンプを使用して伝送途中で何度も増幅することが不可欠ですが、一方で、情報通信量の増加に対応するためDWDMシステムのさらなる「多チャンネル化」が進められています。したがって、長距離伝送において多チャンネル化が進めば進むほど、それぞれの波長のバラツキを抑えることが重要です。
当社は、次世代DWDMシステムに欠かせないVOAを、PLC技術*2を用いて昨年6月に開発しましたが、今回、VOAと光合波器を一体化した製品を開発し、サンプル出荷を開始しました。

本製品の特長は、次のとおりです。

(1) サイズが小さい
VOAとMUXを別体にした場合に比較して、体積比で数分の一以下になりました。
(本体サイズ:252mm(縦)×129mm(横)×40mm(高さ))
(2)損失が小さい
別体の場合、VOAとMUXのコネクタ接続部において損失が発生します。しかし、当社のVOA-MUXでは、それぞれのチップを光ファイバ融着で接続しているため、光コネクタでおこる損失(約0.5dB)分をなくすことができました。
(3)1つのチップに4つのVOAを集積化
独自のPLC技術を生かして、1つのチップに4つのVOAを集積しました。これにより、集積していないタイプに比べ、価格を数分の一に抑えることができます。
(4)制御機能を内蔵
本製品は、外部の制御コントローラとの間に通信機能があり、そこから送られた情報をもとに自動制御を行えるため、お客様側での制御機能設計が不要になりました。

 当社は、このVOA-MUXをご提供することにより、より大容量で、柔軟な構成の次世代DWDMの実現に貢献していく所存です。

 なお、7月16日(月)から19日(木)まで千葉県・幕張メッセで開催されるインターオプトの当社ブースにて、本製品の展示および動作デモをする予定です。

本製品の生産拠点

高砂工場
茨城県日立市砂沢町880番地

*1 「高密度光波長多重伝送」
光ファイバを使った通信技術の一つ。波長の異なる複数の光信号を1本の光ファイバに同時に入射し伝送することにより、光ファイバ1本あたりの情報伝送量を飛躍的に増大させる技術を「波長多重伝送=WDM:Wavelength Division Multiplexing」という。情報量の需要増加に対して、波長数を増加させることで対応することができるため、新たに伝送路そのものを増やす場合と比較して、経済的に情報伝送量を増大させることができる。WDMをより高密度化したものをDWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing「高密度波長多重伝送」という。
*2 PLC:Planar Lightwave Circuit「平面光波回路」
ICやLSIの微細な構造を形成する際に用いられるフォトリソグラフィやドライエッチングといった半導体プロセスの技術を応用して、石英基板等の上に光回路を形成したもの。 パターンによりいろいろな特性を付与することができる。

以上