2000年 旧 日立電線ニュースリリース
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光ファイバを利用した火災感知システムを開発
このたび当社は、光ファイバを温度センサとして利用した光ファイバ火災感知システムを能美防災株式会社(東京都千代田区 社長:木村 敞一氏。 以下、「能美防災」といいます。)殿と共同開発し、販売を開始いたします。このシステムは日本消防検定協会の特例検定*1 を取得しています。
今回開発したシステムは、(1)光ファイバ型中継器(自動試験機能付き)と(2)差動式分布型感知器(アナログ式光ファイバ型及び試験機能付:光ファイバによる熱感知器)から構成されています。
(2)は特殊加工した光ファイバを使用した熱感知器で、光ファイバ温度レーダー「FTR=Fiber Optic Temperature Laser Radar*2 」の技術が利用されています。感知器からの光信号を(1)で火災信号として受信機へ送信し、異常を知らせる仕組みになっています。
本製品は、一本の光ファイバで最大1.2kmという長距離にわたり、1m毎に温度監視ができるため、工場や格納庫といった大空間や、トンネルや洞道といった長尺の火災感知に大変適しています。また、感知部分に光ファイバが使われているため、電磁誘導の影響を受けないのが大きなメリットとなっています。
また、従来の温度感知方式は、(1)広範囲における温度上昇率を比較し、異常な上昇率を示す場所を感知する、(2)一定箇所が一定温度に達しているかどうかを感知する、という二つの方法のどちらかを使いますが、本製品では2つの方法を併用して感知することにより、より正確な火災感知能力を実現しました。
さらに、構成がシンプルでメンテナンスに優れています。
この製品は、FTRを各種プラント設備等に納入するなど、光ファイバを使用した温度レーダー技術に実績をもつ当社の技術と、防災メーカーである能美防災殿の豊富な火災感知システムのノウハウを融合する形で平成7年から開発を進めておりました。
このたび、消防特例検定を取得したことにより、消防法で設置が義務づけられる自動火災報知設備として販売が可能になったものです。今後は、能美防災殿と当社の双方で積極的な販売活動を展開し、光センサを使った本製品の強みを十分にお客様にご理解いただくことで、受注獲得に努めてまいる所存です。
*1 | 特例検定 検定を行う機器等(検定品目)は、消防法施行令(第37条)で定められています。この検定品目とは認められていないが、優れた機能等をもつ新技術製品については、依頼に応じ、それらが法令上の規格に適合するものと同等以上の性能を有するものであるかどうかを評価します。この評価は、学識経験者等からなる消防機器等評価委員会で行い、自治大臣に提出します。その結果、自治大臣により特例基準が告示されたときは、この基準による検定を受けることができます。 |
*2 | FTR = Fiber Optic Temperature Laser Radar 光ファイバから入った光信号の一部には、散乱して光が入った所まで戻ってくる性質をもつ後方散乱光があります。また、この散乱光に含まれるラマン散乱光の強度は、温度により敏感に変化する性質を持っています。光ファイバへ入射した光が後方散乱光として戻ってくるまでの時間とラマン散乱光の強度から、その散乱光の発生した場所と温度を測定することができます。これを温度センサシステムとして利用したのがFTRです。 |
能美防災殿の概要
会社名:能美防災株式会社
所在地:東京都千代田区九段南4-7-3
代表者:木村 敞一 氏
資本金:6,272百万円(平成12年3月31日現在)
売上高:695億円(平成11年度)
以上