1999年 旧 日立電線ニュースリリース

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高効率モーター用エナメル線 「KOMAKIシリーズ」を発売

 このほど当社は、高効率モーター用エナメル線「KOMAKIシリーズ」を発売いたしました。

 近年の環境問題・省資源化の気運の高まりにより、各種電気機器の小型化・省電力化が進められています。
 特に省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律)の改正により、エアコンを始めとする家電品は消費電力削減が急務になっています。
 また、排気ガス削減の流れからHEV(=Hybrid Electric Vehicle)など電気自動車も実用化されてきています。このように環境に配慮した家電品や自動車が主流になるにつれ、そこに使用されるモーターについても、高効率化が求められるようになっております。

 モーターの高効率化については様々な方法があり、モーターメーカー各社の設計思想によって異なりますが、コイル巻線の高占積率化もその一つです。高い占積率でコイル巻線することにより、モーターの小型化を実現し、鉄損や銅損を低減するなど高効率のモーター設計を可能にします。しかし、従来のモーター用エナメル線では、占積率が70%を超えると、ガイド類との擦れやスロット(エナメル線を巻く溝)へ挿入する際の高い応力によりエナメル線の皮膜表面に外傷が発生しやすく、その結果レアーショート不良が発生しやすくなるなど、モーターの信頼性が低下するという問題がありました。
 そこで、このたび当社では、エナメル線の表面に当社独自開発の特殊なコーティングを施すことにより、すべり性がよく、また高い耐摩耗性を有し、この結果、高い占積率を可能にした高効率モーター用エナメル線「KOMAKIシリーズ」を開発・実用化しました。
 「KOMAKIシリーズ」は卓越したすべり性を有しているため、従来製品では55~65%レベルであった占積率を70~75%程度に引上げることができ、なおかつ、耐摩耗性が高いため過酷なコイル巻線条件においても傷がつきにくく優れた絶縁性能を保持できるなど、高い信頼性が維持できます。

 「KOMAKIシリーズ」の使用用途は、家電・産業分野(フロン機器、汎用モーター、その他耐熱機器)と電装分野(EV、HEV、電動パワーステアリング等)の2つを想定しています。当社としては、巻線分野における将来の中核製品として、高効率モーター用エナメル線「KOMAKIシリーズ」の製品ラインアップを拡大・充実していき、省エネルギー対応という市場のニーズを先取りした事業展開に努めて参る所存です。

* 占積率とは、コイル巻されるスロットの面積の内どれだけエナメル線が占有しているかを比率で表したものです。
  • 製品比較写真
    左:55% 従来品 / 右:70% KOMAKI

高効率モータ用エナメル線「KOMAKIシリーズ」の品揃え

耐熱クラス220℃(AIW相当)
200℃(AMW-XV、EIW-A相当)の2タイプ
標準サイズは0.32~1.6mmφ、荷姿はPT-60(60Kg巻)、PT-270(270Kg巻)を標準とし、荷姿の大型化による段取り替えの低減にも配慮しました。

以上