1999年 旧 日立電線ニュースリリース

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テリアルリサイクルに配慮した
電力用エコグリーン(R)(環境配慮型)ケーブルを開発
-新たに開発した耐熱非架橋ポリエチレンを適用-

 このたび当社は、マテリアルリサイクル(材料として再利用すること)が可能な耐熱ポリエチレン絶縁低圧電力ケーブルを開発し、環境配慮型電線ケーブル「エコグリーン(R)」シリーズに加えました。

 電線ケーブルの廃棄・焼却時の有毒ガス発生対策として、各種環境配慮型電線ケーブルが発表されておりますが、電力ケーブルの場合、電流による発熱に対応するため、絶縁体には、高い耐熱性能をもつ反面、マテリアルリサイクルのできない架橋ポリエチレンが使われてきています。
 しかし当社では、将来の石油資源枯渇を考え、循環型社会への移行が進む21世紀を迎えようとしている現在、繰り返し使用できる絶縁材料の製造技術が重要ポイントと考え、架橋ポリエチレンに替わる新たな絶縁材料の開発を進めてきました。
 その結果、架橋せずにポリエチレンの耐熱性を上げることに成功し、マテリアルリサイクルの可能性を切り開くことができたものです。

 ポリエチレンは、電気特性に優れ、電力ケーブルの絶縁材料に適していますが、従来のものは、耐熱性能に欠けるところがあります。これは、ポリエチレンの分子同士が結合していないため、高温になると溶融流動すること(熱可塑性と言います)に起因します(ローソクの蝋が溶けるような状態になります)。
 一方、架橋ポリエチレンは、化学的に分子同士を結合させ(化学架橋=通常は、単に「架橋」と言います)、3次元の立体網目構造に改質し、高温になっても溶融流動しないようにしたものです。この改質により、ポリエチレンの導体許容温度75℃に対し、架橋ポリエチレンは、90℃という高い導体許容温度を得ることができます。しかし、使用したケーブルをリサイクルする段階では、架橋ポリエチレンは、高温でも溶融流動しないことから、材料として再利用するマテリアルリサイクルができず、粉砕あるいは油化した後、燃料として利用するサーマルリサイクルしかできません。

 一方、ポリエチレンの製造技術は、急速に進化しており、分子構造の高度な制御が可能になってきています。このたび当社が開発した耐熱非架橋ポリエチレンは、これら新世代のポリエチレンの中から、電力ケーブルの絶縁体に適したものを見出し、これに当社独自の配合並びに加工技術を施し、熱可塑性を維持したまま、架橋ポリエチレンの代替として使用できる絶縁体です。

 なお、今回当社が開発したマテリアルリサイクルに配慮した低圧電力用エコグリーン(R)(環境配慮型)ケーブルは、低圧電力ケーブルのJIS規格に規定された要求特性を全て満たしていることが確認されています。

* 「エコグリーン(R)」シリーズは、当社の登録商標です。

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