1998年 旧 日立電線ニュースリリース

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4心光ファイバテープを低損失に接続できるメカニカルスプライスを開発

 このほど当社は、4心光ファイバテープを、商用電源を使わず短時間で、しかも低損失で接続できるメカニカルスプライスを、日本電信電話株式会社(NTT)殿と共同で開発しました。

 従来、光ファイバの接続は、放電により光ファイバを溶かして接続させる融着接続という方法を用いていました。この方法は、接続部の損失が低く非常に信頼性が高いという長所があるものの、接続機が比較的高価で、かつ、電源を必要としました。一方、光ファイバを突き合わせて固定するメカニカルスプライスは、接続が簡易で低コストであるものの、従来のものでは信頼性の面で、融着接続ほどのレベルを確保できていませんでした。
 現在、NTT殿が推進中のπシステムでは、各家庭近くまで光ファイバが引かれることから、光ファイバの接続作業が飛躍的に増大することが予想されております。
 このような状況の中、電源をつかわず、低コストであるという長所を生かし、しかも低損失で信頼性に優れたメカニカルスプライスの開発が必要となっていたものです。

 既に2年前に当社は、単心光ファイバ用メカニカルスプライスについては、従来のメカニカルスプライスの問題点であった信頼性の低さを克服し、低損失で、信頼性の高い接続を実現できるものを、NTT殿と共同で開発しております。
 これは、光ファイバをクランプスプリング(板バネ)の力で、基板のV型の溝(V溝)にしっかり固定することにより、高精度に突き合わせ、さらに、突合わせ部分に充填された整合剤(シリコーン系のグリース)によって、融着接続並みの低損失な接続を実現したものです。
 しかし、4心光ファイバテープでは、4本の光ファイバ全てを高精度に突き合わせることは、非常に困難でした。そこで、各部品材料の見直し・改良を重ねることにより、この度、4本の光ファイバを同じように高精度に突き合わせ、接続するメカニカルスプライスの開発に成功したものです。

 また、本メカニカルスプライスによる接続をより簡単にするために、接続用の工具本体の他にも、電池式ホットストリッパ等のその他の工具についても、より使い勝手のよいものを独自に開発しました。
 ホットストリッパは、4心テープのUV(紫外線照射)樹脂被覆を除去する工具で、被覆を加熱し、はがす方式になっています。従来は商用電源を使用しておりましたが、今回当社が開発したものは、乾電池を用いコードレス化したため、小型・軽量化(35mmx40mmx155mm、約350g)とあいまって、作業性が飛躍的に向上しました。また、省電力化したため、被覆除去作業の回数も十分なものとなっています。

 πシステムやFTTH(Fiber To The Home)等の光ファイバ情報システムの構築が進むにつれ、簡易で低コストな接続が要求される光加入者系をはじめ、光システム全般に、当社のメカニカルスプライスが適用されることが期待されます。

 今回開発された4心光ファイバテープ用メカニカルスプライスの主な特徴は下記のとおりです。

(1) 電源を必要としません。
(2) 低損失(平均0.1dB以下)な接続が、短時間(約4分)でできます。
(3) 非常に厳しいベルコア試験(高温・高湿試験 60℃、95%他)によっても損失増加等の特性劣化は極めて少なく、優れた信頼性が得られます。
(4) 小型・軽量です。
メカニカルスプライス本体は、40mmx4mmx4mm、約2g。従来の融着接続で接続部を保護するために使われている収縮スリーブとほぼ同じ大きさです。
接続専用工具は、200mmx120mmx50mm、約800gで、融着接続機(150mmx150mmx150mm、約3kg)と比較して非常に小さく、軽く、しかも安価です。
  • 1本(単心光ファイバ用)または4本(4心光ファイバテープ用)のV溝を形成したプラスチックV溝基板
  • ファイバをV溝に押し付けるための3つの押え基板
  • これら基板を挟み込み、押え力を発生させるクランプスプリング

の合計5部品からなります。

接続手順

メカニカルスプライスに小型・軽量な専用工具を用いて、くさびを挿入し、V溝基板と押え基板の間に隙間を空けます。この隙間に接続するファイバを両側から挿入し突き合わせてくさびを抜きます。