1998年 旧 日立電線ニュースリリース

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次世代の高速伝送メモリー
「ラムバスDRAM」用テープ部材の量産を開始

 このほど当社は、米国ラムバス社が開発した次世代の高速伝送メモリー「ラムバスDRAM (RDRAM(R))*1 」に対応した、超小型半導体パッケージ用テープ部材を開発し、量産を開始することになりました。当社では、この秋から本格的な生産を開始し、来年末頃には月産5,000万個の量産体制を整える予定です。

 このテープ部材は、米国テセラ社が開発したμBGA(R)*2 という半導体パッケージの技術をベースにして、(株)日立製作所と当社が共同で改良を重ねたもので、この部材を使用したパッケージは、従来のμBGA(R)*3 に比較して、より高い信頼性、生産性を実現できます。
 その主な特長は、次のとおりです。
1)JEDEC Level 1*4 を達成するなど、パッケージの高い信頼性を確保できる。
2)生産方式が、従来のリードフレームを使うモールド型のパッケージとは異なり、長いテ ープ状の部材にチップを実装していくReel to Reel方式を採用し、生産性を飛躍的に高めることができる。このため、将来、パッケージ価格をTSOP(Thin Small Outline   Package)並みに抑えることができる見込みである。

 μBGA(R)の優れた電気特性に着目したラムバス社は、これをラムバスDRAMの標準パッケージとして採用することを決定されましたが、本技術についても、従来のμBGA(R)よりさらに優れているということで、同社から高い評価を得ております。これを受け、今般、当社として、この超小型半導体パッケージ用テープ部材の量産体制を確立しました。
 ラムバスDRAMは、これまでのDRAM(記憶保持動作が必要な書き込み読み出し専用メモリー)と比較して、飛躍的にデータ伝送速度を速くすることができるのが特長で、米国インテル社が次世代パソコンのメインメモリーとして採用することを決定しており、今秋から量産が開始される見込みです。
 当社は、フラッシュメモリー向けでは、これまでにテープ部材とパッケージ組み立ての量産実績を着実に上げてきましたが、今般開発した超小型半導体パッケージ用テープ部材の生産及びパッケージ組み立ても、既に一部開始しております。
 さらに、このテープ部材を使用したパッケージが、高速伝送メモリー分野で急速な普及が見込まれるラムバスDRAMのパッケージのディファクトスタンダードになるよう、(株)日立製作所の協力を得て、早期にパッケージの組み立て能力を月産1,000万個まで拡大していく予定です。なお、このテープ部材とパッケージをあわせた売上高は、平成12年度には200億円以上になるものと予想しております。

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RDRAM(R)は米国ラムバス社の登録商標です。
μBGA(R)は米国テセラ社の登録商標です。

〔ご参考〕

ラムバス社について
 米国カリフォルニア州マウンテンビューに位置するラムバス社は、高速インターフェイス技術の開発・ライセンス供与会社です。同社が開発したメモリーインターフェース技術は、DRAM、ASIC、そしてPC周辺チップセットの先進企業に幅広くライセンス供与されています。現在、半導体企業世界上位10社のうち、8社が同社の技術のライセンスを獲得しており、パソコンメーカー上位7社が同技術を使ったシステムを生産しています。ラムバス社に関する詳細な情報は、次のインターネットウエブサイトに掲載されています。
 http://www.rambus.co.jp http://www.rambus.com

*1 RDRAM(R)( Rambus Dynamic Random Access Memory米国ラムバス社の登録商標)
米国ラムバス社が開発した高速伝送メモリーで、米国の大手半導体メーカーであるインテル社が、パソコンのメインメモリーに採用することを表明しており、次世代DRAMの主流となることが確実視されています。性能的には、これまでのDRAMの最高水準にあり、RDRAM(R)の中で最高速のDirect RDRAM(TM)※では、単位時間当りのCPU・メモリー間で転送できるデータ量(ピークバンド幅)が1.6ギガバイト/秒を1個のデバイスで実現でき、多世代にわたるDRAMデバイス、1ギガビットまでの容量をサポートします。
 RDRAMRの適用分野としては、コンピュータのシステムメモリー、マルチメディア・グラフィックスメモリー、通信システムメモリー、民生機器向けメモリーなどがあげられます。
※Direct RDRAM(TM)は米国ラムバス社の商標です。
*2 μBGA(R)(米国テセラ社の登録商標)
米国テセラ社が特許を有するBGAタイプのパッケージ。BGA(Ball Grid Array)と言われるパッケージ構造は、従来のQFP(Quad Flat Package)構造のようにリードフレームの各辺に沿ってピンを配置するのではなく、パッケージの底面に半田ボールを格子状に均等配置したもので、パッケージの小型化や多ピン化への対応を図ることができます。種々のBGAのなかでも、μBGA(R)は、特に高信頼性、高速デバイスの実現という点で優れています。(株)日立製作所と当社はμBGA(R)のライセンスをテセラ社より受けております。
*3 今般開発した技術と従来のμBGA(R)との違い
μBGA(R)構造では、チップの搭載部にエラストマ(緩衝材)を設けています。そのエラストマの形成法について、従来のμBGA(R)では印刷方式を用いるのに対して、今回開発した技術ではフィルム状の低弾性体材料を貼り付ける方式を採用しています。今回開発した技術は寸法安定性、量産性、半田付け作業工程の品質を大幅に改善することができます。
また、樹脂封止の方法については、従来のμBGARではチップ表面側を下にした状態で上から樹脂を満たしていくアンダーフィル法を用いるのに対して、今回開発した技術ではチップ表面側を上にして上から樹脂を乗せるポッティング法を採用しています。また、従来のμBGA(R)では、半田ボール形成部を封止後にフォトレジスト法により形成するのに対し、今回開発した技術では、Tapeを形成する工程で、金型を用いた打ち抜き法で形成できるので、製造工程を大幅に簡略化することが可能です。
なお当社では、このテープ部材にはHCMT(Hitachi Chip Mounting Tape)、パッケージにはHCCP(Hitachi Chip Compliant Package)という商品名を付けております。
*4 JEDEC Level
JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)は、米国の電子機械工業会(EIA)の下部組織で、半導体の標準化を進める公的機関です。(本部:米国バージニア州アーリントン)
JEDECの標準化の一項目に、半導体パッケージをプリント基板に実装する場合のパッケージ品質を規定する項目があります。  表面実装パッケージは、半田付け作業時にパッケージに水分が含まれていると、その吸湿水分が水蒸気爆発して、パッケージを破壊することがあり、その耐力のレベルで優れている順にレベルが決められています。
レベル1は、最高品質であり、半導体の防湿包装を必要としないレベルを表します。
今回当社が発表した技術を使用した超小型半導体パッケージが、世界で初めてレベル1を達成しました。
JEDEC Level 1概要
半導体の保管条件:30℃、湿度90%以下、無制限
試験条件:85℃、湿度85%、168時間

以上