1998年 旧 日立電線ニュースリリース

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高周波電子デバイス用エピウエハの装置能力を大幅増強

 このたび当社は、高砂工場(茨城県日立市)内の化合物半導体専用工場において、MOVPE法(注1)ガリウムひ素(GaAs)エピタキシャルウエハ(以後エピウエハ)の装置能力を大幅に増強しました。これは携帯電話用高周波デバイス需要の伸びに対応するもので、生産能力は従来の2倍強の月7,000枚(4インチ換算)となります。

 当社の高周波デバイス用エピウエハの生産は、携帯電話のサービスが広く普及しはじめた平成6年(1994年)から本格的に開始し、順次設備増強を行ってきましたが、常にフル生産の状況が続くなど、一層の設備拡充が必要となっておりました。一方、携帯電話市場は、CDMA(注2)といった新しい通信方式や衛星を用いた携帯電話等、新たなサービスが加わることにより、今後ますます伸びることが予想されており、これに伴いGaAsヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)といった、新たな高周波デバイスの需要が見込まれています。
 このような状況のもと、大幅な生産能力増強とエピウェハ開発のスピードアップを目的として、MOVPE装置の複数台同時増設に踏み切ったものです。

 当社は、独自開発の多数枚チャージMOVPE炉によって、エピタキシャル層の膜厚や各種電気特性のウエハ面内均一性に優れたエピウエハを再現性良く生産する技術を確立しております。また、独自に考案したエピタキシャル成長前のGaAs基板前処理技術に加え、顧客が要求するデバイス特性を、徹底的に追求したエピウエハの設計を行っております。
 このような技術によりこれまでも当社は、携帯電話に使われる高周波電子デバイス用GaAsエピウエハでは高い評価を得、世界トップのシェアを誇ってきました。
 今回、さらに独自のアイデアを盛り込んだ装置を増強したことにより、エピウエハ特性の面でも、生産量の面でも、より一層顧客ニーズに対応できることになります。今後も当社は市場動向を見つつ、MOVPE法エピウエハ装置能力の増強を適宜実施していく計画です。

 また、エピウエハの基板となる半絶縁性GaAs基板に関しても、最近のサイズアップの進展に対応するため、MOVPE装置の増強に合わせて4インチ径基板の供給能力も増強いたしました。今後、基板サイズは5、6インチと大型化が進むと考えられ、これに対応できる基板供給能力の増強も現在進めています。

*1MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxial)法:有機金属化学気相成長法
*2CDMA(Code Division Multitude Access):符号分割多元接続方式
同じ周波数を同時に使用できるため、回線を確保しやすく、大勢の人が一度に携帯電話を使う環境に向いている。

以上