1997年 旧 日立電線ニュースリリース
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高密度波長多重伝送用「導波路型光合分波器」の本格的量産を開始
当社は、半導体の微細プロセス技術と光ファイバ製造技術を応用した導波路型光平面回路(PLC: Planar Lightwave Circuitの略。)技術を用いた、高密度波長多重伝送用「導波路型光合分波器」の製品化に成功し、このたびその本格的な量産を開始しました。
当社では、光の発振・増幅・分岐・スイッチ等の光部品のコストダウンを可能にできる有力手段として注目されていたPLCの研究開発をかなり早い段階から始めており、その成果のひとつとしては、平成4年に開発した1×Nスプリッタ(多分配器)やカプラー(分岐・結合器)等のPLC製品を挙げることができます。そして、当社は、これらの製品を河川・道路の映像監視システムやPHS事業者の光ネットワーク等の重要部品として、納入してきました。
一方、マルチメディア社会の基盤となる高度情報通信ネットワークの根幹を支える長距離幹線システムでは、最近の情報量の急激な増加に対応するため、波長の近接した複数の光信号を1本の光ファイバで同時に伝送できる、高密度波長多重伝送(WDM:Wavelength Division Multiplexing)システムの利用が有望視されてきており、米国では実用化されつつあります。つまり、このシステムを使えば、画像、音声、データ等、種類の異なる大量の情報を、1本の回線で同時に伝送することが可能になり、光ファイバを有効に利用することができます。しかし、これを実現するためには、複数の近接した波長の光信号を「合波」して1本の光ファイバに送り込み、また、この合波して送られてきた複数の光信号を、波長ごとに「分波」するための装置、すなわち光合分波器といわれるものが必要です。これまでは、こうした装置として干渉膜フィルタなどが使用されていましたが、性能、信頼性、寸法等の面で多くの問題があり、より実用的な光合分波器の登場が待たれていました。
こうしたニーズに応えるため、当社では、これまでに培ってきた半導体の微細プロセス技術と光ファイバ製造技術を融合した製造方法によって、ガラス導波路を用いた高密度波長多重伝送用「導波路型8チャネル光合分波器」を製品化し、量産体制を整えたものです。この導波路型光合分波器は、1.5μm帯の8つの信号光(波長間隔約 2nm(ナノメートル:1nm = 10-6mm)を合分波できるもので、次のような優れた特長をもっています。
- 光の通過帯域が平坦かつ低損失である。
- 他の波長域への漏光が少ない(低クロストーク)。
- 光の偏光方向に依存する損失変動が少ない(偏光依存性が小さい)。
- 環境温度の変化による特性変動が小さい。
- 導波路素子と光ファイバとを融着接続しているので、信頼性が極めて高い。
- 小型化(13cm(L)×5cm(W)×3cm(H))を実現している。
さらに当社では、本製品をさらに一歩進めた、より狭波長間隔(約1nm)で、かつ多チャネル(16~32波)の超高密度波長多重伝送用導波路型光合分波器の開発を鋭意進めており、近々製品化する予定です。こうした市場ニーズを先取りした製品開発や最先端製品の早期市場投入等を通じて、高度情報化社会のキー・テクノロジーであるPLC分野及びWDM分野における世界的リーディングカンパニーとしての当社の地位を、今後、さらに確固たるものにしていく所存です。