1994年 旧 日立電線ニュースリリース

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このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

LSIパッケージの小型化を達成できるTAB-BGAを製品化

 このほどの当社は、TAB(Tape Automated Bonding)技術、低温金スズ共晶結合(*)技術などを応用したTAB-BGA(Ball Grid Array)を初めて製品化しました。

 最近のコンピュータ、情報機器端末の性能アップや小型化に対する要求の強まりに応じて、半導体LSIの大容量化、高速化、高機能化とともに、半導体パッケージの小型化、多ピン化等の要求も従来以上に強まってきました。しかし、従来のQFP(Quad Flat Package)構造では、これ以上の小型化、多ピン化を同時に実現することは、パッケージの構造上の制約から困難となっていました。こうした背景から、半導体パッケージに対する要求性能を実現する方法として考案されたのがBGA構造です。これは、QFPのようにリードフレームの各辺に沿ってピンを配置するのではなく、パッケージの底面にはんだボールを均等配置したもので、(1)パッケージサイズがGFP構造のものより小さくできる、(2)チップ接合部からはんだボールまでのリード長もQFP構造の約半分にできる、(3)リード長が短くなるので、電気的特性が向上する、(4)プリント基板側への放熱性能がQFP構造のものより優れている等のメリットを有しております。

 BGAには、こうした多くのメリットがあることが知られていますが、チップからの発熱で、チップとBGA基板、BGA基板基板とプリント基板とのそれぞれの接続部に歪みが発生する虞れがあることや接続点に劣化が生じる可能性がある等、信頼性の面で問題があり、実用化が遅れていました。しかし、最近では種々の工夫でこうした問題点が克服されつつあり、ワイヤボンディングでチップと基板を接続したBGAが一部で実用化されるに至っています。
 このたび当社が製品化したTAB-BGAは、IC実装技術の一つとして注目されているTABとBGAを組み合わせたもので、当社が独自に開発した低温金スズ共晶接合法でチップと基板とをTABテープキャリアで接続することにより、次のような優れた特長を有しています。

(1) ワイヤボンディングの方法によらずしてチップと基板との微細接続が行えるので、LSIパッケージの小型化が図れるとともに、安価で信頼・4)旅發と焼蛎離妊丱ぅ垢・任(4)泙后まbr />
(2) TAB技術の応用により500ピン以上の多ピン化が可能で、将来的には1,000ピン程度のLSIにも対応可能です(従来のBGAでは、500ピンが限度といわれています)。
(3) 多層基板を採用することにより、高機能化が容易です。

 今回当社が製品化したTAB-BGAには、将来のMCM(Multi Chip Module)化に向けたCOCB(Chip on Chip BGA)タイプのものもラインアップに入っており、今後、当社では、TAB-BGAの普及を図っていく所存です。

*低温金スズ共晶接合
金とスズとの合金組成による融点の差を用いて、低温処理(240度C程度)で300度C以上に耐える金属の接合部を形成する方法のこと。この方法は、接合部付近の有機材料に影響を与えない低温で接合するため、材両面での信頼性が確保できるほか、接合後の組立実装工程時に300度C程度まで温度が上昇しても、接合部には影響しないので、この面での信頼性も向上することになります。
当社では、これまでも複合リードフレームに「低温金スズ共晶接合」を適用していますが、この技術に関しては、既に米国で特許を取得しているほか、日本でも特許を申請中です。

以上