1994年 旧 日立電線ニュースリリース

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マルチメディア時代に対応したエレベーター映像伝送システム
"EPiCS"をソニー(株)殿と共同開発

 このほど当社は、エレベーターを単なる移動空間ではなく、ひとつのメディア空間として捉えた"EPiCS"(Elevator Picture Communication Systemの頭文字をとったもの)をソニー(株)殿と共同で開発し、同社と相互に販売を進めていくことになりました。

 最近は、私たちの身の回りにさまざまな映像情報があふれ、いろいろなところで活用されています。こうしたピクチャー・コミュニケーション全盛の中で、映像・文字情報(文字放送を含む。)をエレベーター空間やエレベーターホールに提供して欲しいというニーズが急速に高まってきました。こうしたニーズに応えて、ソニー(株)殿が有するAV映像技術、豊富なソフトと当社が独自に開発した密結合無線伝送システム* とを融合して開発されたのが"EPiCS"です。

 "EPiCS"の特長は、(1)密結合無線伝送システムの採用により、エレベーターが運転されている状態でも高品質な画像伝送が可能、(2)伝送用のテールコードが不要なため、エレベーターの吊下げケーブルにかかる重量を増加させない、(3)ガイドレールに密結合ケーブルを1本取り付けるとともに、エレベーターのカゴにアンテナ、モニターを取り付けるだけなので、既設のエレベーターにも簡単に設置可能、(4)エレベーターのカゴへ映像信号を伝送するだけでなく、カゴの中に取り付けた監視用テレビカメラの映像よ非常電話の音声をエレベーター制御室へ伝送する双方向通信も可能、などです。

 "EPiCS"を通じて提供できる映像ソフトとしては、店内案内・イベント情報などのCMビデオ、文字放送、TV放送、天気予報、社内ニュース、BGV(バック・グランド・ビデオ)、セーフティー情報等が考えられますが、ユーザーのニーズに応じた独自のソフトも、ソニー(株)殿の協力を得て制作・供給していく予定です。また、ユーザー自身が簡単に映像ソフトを制作できる、低価格のソフト制作・送出機器も、あわせて販売するほか、"EPiCS"専用の文字放送番組の制作の検討も進めています。

 今後、当社は、"EPiCS"の販売に関してソニー(株)殿と相互に協力していくことになっています。即ち、当社は、既設のエレベーター向けも含めて独自のルートで"EPiCS"の販売活動を展開していくとともに、そのメンテナンス業務も請け負っていく予定で、ソニー(株)殿も同社の製品として販売してく予定です。

 "EPiCS"は、既に東京・銀座にあるソニービル内のエレベーターに設置されており、マルチメディア時代に向けた新しいメディアツールとして、関係者の注目を集めています。

* 密結合無線伝送システム
密結合無線伝送システムとは、平衡ケーブルとこれに10~20mmのすき間を保って設置されたアンテナとの間で非接触通信を行い、外部への電波の漏れを少なくした伝送方式です。一般の無線と異なり、ケーブル近傍に分布する磁界をアンテナごピックアップする方式のため、受信レベルが安定しており、極めて良好な信号伝送が実現できます。平衡ケーブルには、テレビのフィーダ線のように2本の導線を平行に並べたものと、対よりにしたものとの2種があります。特に、対よりケーブルの場合は、より合わせた半ピッチ毎に磁界が反転するため、信号送信時に外部へ漏れる磁界が遠方では打ち消されるという特長があり、さらに、信号受信時においても、外部からのノイズや妨害電波により生じる誘起電流が2本の導体の反転効果で半ピッチ毎に逆方向になり、互いに打ち消されるため、ノイズ等の影響をほとんど受けません。また、周波数を多重化することで、双方向伝送を行うこともできます。
密結合無線伝送システムは、電波法上の免許を要しない無線局に該当(無線設備から3mの距離において、その電界強度が500マイクロV/m以下)しますので、設置管理面でも容易なものになっています。
なお、この方式に関しては、当社が特許、実用新案を申請中です。

以上