1994年 旧 日立電線ニュースリリース

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水溶性油剤の腐敗と悪臭を防止するイオンスカッシュ(R)を開発

 このほど当社は、銅イオン応用製品として、「イオンスカッシュ(R)液」及び「イオンスカッシュ(R)装置」を開発することに成功し、販売を開始しました。これは、工作機械で金属加工を行うときに潤滑・冷却用として加工部分にかけられる水溶性油剤(以下「クーラント」と呼びます。)中に適量の銅を均一に分散させ、その一部が電離して生ずる銅イオンの強力な殺菌力でクーラントの腐敗と悪臭発生を防止するものです。

 クーラントは、分散剤などのさまさまな有機性成分やミネラルオイル、硫黄化合物等が添加された原液を水で10~50倍程度に希釈した液で、クーラントの温度が上昇すると硫酸還元菌等の嫌気性菌の増殖により腐敗し、悪臭を発生するのが大きな難点となっており、これが金属加工業界の共通の悩みとなってきました。

 一方、銅には強力な殺菌力があることからが昔から経験的に知られており、これは、銅の微量金属作用* によるものといわれています。特に銅は、悪臭発生の原因となる、前述の硫酸還元菌の増殖の抑制に顕著な効果を示すことから、クーラントの腐敗・悪臭防止に有効な手段となることが考えられ、当社で実験を続けた結果、20mg/リットル(20PPM)程度の銅濃度をキープすれば、クーラントの悪臭発生防止に極めて有効であることを確認しました。

* 微量金属作用
特に水銀、銀、銅などの金属が化学的に証明できないような極く微量で驚くべき殺菌作用をあらわすこと。どうしてこのような作用が起こるのかについて薬理学的説明は、明らかではありませんが、恐らく細胞表面の金属イオンの濃度が高くなるためであろうといわれています。銅の微量金属作用を利用したものとしては、イオンスカッシュ(R)の他に、当社で開発した台所の流し用ゴミ受け「銅バスケット」があります。

これらを踏まえ今回当社では、銅をクーラント中に含有させる方法として、次の二つの方法を開発しました。一つは、銅をあらかじめ溶解させた液(商品名:イオンスカッシュ(R)液)をクーラント中に投入する方法です。イオンスカッシュ(R)液の銅の含有量は、500mg/リットル(500PPM)で、クーラントに投入後の銅濃度が約20mg/リットル(20PPM)になるように希釈して使用します。他の一つは、銅をクーラント中に直接溶解させる方法で、そのための装置として「イオンスカッシュ(R)装置」を商品化しました。前者は、小・中規模なシステムに適し、後者は、中・大規模なシステムに適しています。なお、これらの製品は、(株)アンテックス殿(本社:東京都大田区、社長:安藤晴朗氏)と共同で開発しました。

 イオンスカッシュ(R)液の標準価格は、20リットル容器入りのもので5千円、200リットルドラム缶入りのもので4万5千円です。イオンスカッシュ(R)装置の標準価格は、溶解電流3Aタイプで、1台当たり380万円ですが、特殊タイプについては、クーラントシステムの保有液量に応じて個別に設計、製作いたします。また、イオンスカッシュ(R)装置の消耗品である銅電極の標準価格は、3万円です。

 なお、イオンスカッシュ(R)をアルミの加工に適用しようとする場合、銅とアルミのイオン化傾向の違いからアルミの腐食が懸念されますが、当社の実験では、クーラント中に溶解している銅の量が多ければ多いほど、アルミ表面の酸化が抑制されるという結果が得られており、アルミの加工においても、全く問題ないことが確認されています。

以上