1993年 旧 日立電線ニュースリリース

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小型光ファイバジャイロ「ジャイロエースV」を製品化
量産体制を整備し、産業用に拡販を開始

 このほど当社は、量産型の小型光ファイバジャイロ「ジャイロエースV」を製品化し、高砂工場(茨城県日立市)内で生産を開始しました。

 「ジャイロエースV」は、自動車やロボット等の姿勢制御が可能な、アナログ出力型の光ファイバジャイロです。センサ部に偏波面保存光ファイバを用いているため、角速度のバイアスドリフト* が極めて小さいなど、従来品並の高性能を維持しながら、光学系の構造を大幅に簡略化し、今回製品化に成功したものです。従来、最も理想的な光ファイバジャイロの基本光学系は、2個の光ファイバカプラと偏光子を組み合わせた構造であるといわれていました。これに対し、今回開発製品化した「ジャイロエースV」は、偏波面保存光ファイバの特性を活用し、偏光子を取り除くとともにカプラも一個にした極めてシンプルな構造となっています。また、信号処理回路も集積化を図る等量産化に適した構成とすることにより、低コスト化を図り、広い応用分野での実用を可能にいたしました。

* バイアスドリフト 計測対象物が回転していないときは、光ファイバジャイロから出力されるデータは、本来0度/Sでなければなりませんが、実際には若干角速度(回転の速さのこと。)が発生しているようなデータが出力される場合があります。この差をバイアスといい、温度等の回転以外の要因でバイアス値が変化することをバイアスドリフトといいます。バイアスは、無いのが望ましいわけですが、発生している場合でも安定していれば、補正が簡単にできます。

 「ジャイロエースV」の仕様は、応用1ミリ秒と高速で、ダイナミックレンジはプラスマイナス80度/S、最小分解能が0.5度/S、スケールファクタ誤差がプラスマイナス3%以下、使用温度範囲が-30度C~+75度Cで、サイズも80mm*80mm*35mmと小型です。なお、サンプル出荷価格は、1台当たり、198,000ですが、量産価格は現在検討中である、個別商談には積極的に対応していく考えであります。

 当社は、産業用光ファイバジャイロを世界で初めて商品化し、これまでに計測用・カーナビゲーション用を中心に約5,000台の納入実績を有しています。光ファイバジャイロは、コンパクトで軽量、高精度、短時間起動、振動に強いなど優れた特長を有することから、今後さらに各方面で普及するものと予測されていますが、今回の「ジャイロエースV」の量産化成功により、これに大きな弾みがつくものと当社では期待しています。

以上