1992年 旧 日立電線ニュースリリース

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LOC実装用絶縁フィルム付きリードフレームの量産開始

 DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー、ダイナミックRAM)の高集積化により大きくなるチップサイズに対して、パッケージサイズの増大を抑える手法として、LOC(Lead On Chip)実装が注目されておりますが、このほど、当社は、このLOC実装に適した絶縁フィルム付きリードフレームの量産を開始しました。

 DRAMは、高集積度化にともないチップサイズも大型化しています。また、高集積化に対応し配線は微細化されますが、パッケージの幅寸法の拡大は許されません。パッケージサイズが同じでチップサイズが大きくなった場合、従来のインナーリード先端からチップにワイヤーボンディングする方式では、リードフレーム上のモールドレジンの封止距離が短くなり、耐湿信頼性の低下を招き、自己インダクタンスの増大による電気特性が悪化します。これに対し、インナーリードをチップの上に引き回し、インナーリードの下に絶縁フィルムを介してチップを取り付けるLOC実装方式が提案されていました。このLOC構造にすることにより、レジン封止距離の確保、電気特性の改善が図れます。LOC実装方式は、今後の高集積メモリー用の小型パッケージの主役になることが期待されています。

 しかし、通常の実装法でLOC構造のパッケージを行うには、絶縁フィルム付きの特殊なリードフレームが必要になります。従来のリードフレームに加えて、(1)高位置精度の絶縁フィルムの張り付け、(2)実装工程の高温処理に耐える耐熱性、(3)高精度のデプレス加工、先端スポットめっき等が要求され、その実現は困難でした。

 当社は、このほど、他社に先駆けてこのLOC実装用絶縁フィルム付きリードフレームを開発しました。絶縁フィルムのサイズ等の最適設計を行い、接着剤にアミドイミド系樹脂をさいようして実装時に要求される耐熱性を確保し、新しくフィルム貼り付け専用装置を開発してプラスマイナス0.1mm以下の位置精度を達成する等、必要となる要素技術を開発し、同時に、信頼性も確認しました。すでに製造技術を確立し、要求の多い4Mb-、16Mb-DRAMのLOC実装用絶縁フィルム付きリードフレームの量産を開始しました。
このLOC実装用絶縁フィルム付きリードフレームは、ますます高集積化していくDRAM等半導体メモリーのパッケージ用に需要の一層の拡大が期待されます。

 尚、当社は、MPU(マイクロプロセッサー、超小型演算処理装置)等用多ピン高速の「複合リードフレーム」、電力用の「ヒートスプレッダー付きリードフレーム」、この度のメモリー用の「LOC実装用絶縁フィルム付きリードフレーム」等、特徴あるリードフレームの開発を進めて半導体パッケージングに技術貢献して行きたいと考えております。

以上