1992年 旧 日立電線ニュースリリース

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ガラス導波路形光コンポーネントを製品化

 このほど当社は、光ファイバ通信や光計測など幅広い用途に応えることのできる、実用的なガラス導波路形光コンポーネントを製品化しました。

 今回、製品化したガラス導波路形光コンポーネントは、半導体の微細プロセス技術と光ファイバ製造技術を応用して、石英ガラス基板上にシングルモード光受動回路を形成した、小型で、高い機能性を有した光部品です。ガラス導波路形光コンポーネントは、光応用分野において基本となる光信号を分岐したり、合分波したりする重要な役割を担うものです。
 当社では、日高工場内に専用クリーンルームを新設し、ガラス導波路の製造から受・発光素子等の高精度実装までを一貫して行うラインを設置し、信頼性・安定性に優れた各種光コンポーネントを供給できる体制を整えました。

 今回、製品化した光コンポーネントは、以下の5種類です。

(1)双方向伝送用光モジュール

 波長1.3マイクロmと1.55マイクロmの光信号を送・受信できる新しい光モジュールで、合分波ガラス導波路、半導体レーザ、受光素子を高精度に位置決めし、小型パッケージ(50L×14W×10H、体積7cc)に気密封止した構造となっています。
 光ファイバとガラス導波路は、CO2レーザで融着接続されているため、高強度で、接合面の反射も、極めて小さく(-60dB以下)なっています。また、モジュール内回路を低損失化することにより、光ファイバ出力は、0.3mW以上を確保し、波長1.3マイクロmと1.55マイクロmの間のアイソレーションは、-40dB以下を達成しています。

(2)分波器

 狭帯域(波長1.29マイクロm/1.31マイクロm)用及び広帯域(波長1.3マイクロm/1.55マイクロm/)用の光合分波器並びに光りファイバ増幅器に必須な光合分波器(波長1.48マイクロm/1.55マイクロm)があります。石英ガラス基板上に導波路が形成されているため、導波路形成時の熱膨張率等による内部歪みが小さく、0.2dB以下の偏光依存性が得られています。

(3)1×Nスプリッタ及び(4)N×Nスプリッタ

 光LAN等の光多分岐を必須とする光システムの構成部品となるもので、1×Nスプリッタは、今回改良を行った1×2、1×4スプリッタに加え、新たに分岐数の多い1×8、1×16スプリッタを加えて4種類となり、製品ラインアップの充実を図りました。また、N×Nスプリッタは、これまでの4×4スプリッタに加え、8×8、16×16スプリッタを開発し、各種用途に対応できるようになりました。

 特に、1×16スプリッタは、従来の光ファイバ形に比べ、体積比で500分の1以下と小型化されるとともに、挿入損失は15dB以下と低損失で、各ポートの損失偏差も2dB以下を達成しています。また、ピックテール光ファイバがついており、コネクタによる一括接続も可能な構造になっています。

(5)波長無依存形カプラ

 波長1.2~1.6マイクロmまでの広帯域に亘り、波長にかかわらず任意の割合で光信号を分岐することができます。
 分岐比は、1:1、1:4、1:10、1:100の4種類ですが、ユーザーのご指定により、前記の分岐比以外のものも製造可能です。なお、1:100のものは、光伝送路のモニターにも適用できます。

 当社では、以上のような特徴のあるガラス導波路形光コンポーネントを製品化しましたが、今後、加入者系の光ネットワーク化等、次世代の光通信分野の各種ニーズに対応し、光コンポーネントの一層の小型化、高機能化を図っていく所存です。

以上