1991年 旧 日立電線ニュースリリース

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CVケーブルの絶縁劣化診断に威力を発揮する
「ケーブル絶縁診断車」が誕生

 この程当社は、22~33キロボルトCVケーブル用の絶縁診断装置を搭載した「ケーブル絶縁診断車」を完成させました。この種の診断車は、これまで例がなく、地中送電線路におけるCVケーブルの保守・点検業務の大幅な効率向上、精度向上に、活躍が期待されています。

 配電用CVケーブルの絶縁劣化の原因は、大部分が「水トリー」と呼ばれるものです。これは、CVケーブルの絶縁体(架橋ポリエチレン)などに発生する、形状が樹枝(Tree)状の劣化現象で、電界と水の存在が発生の主原因となっているものです。この水トリー劣化の有無を確認する方法は、いろいろありますが、今回ケーブル絶縁診断車に搭載した絶縁診断装置は、交流課電直流バイアス式といわれるものを採用しています。当社では、以前よりCVケーブルの絶縁劣化度合いと交流課電時の直流成分との間には、相関関係があることを見出していましたが、22~33キロボルト級CVケーブルの場合は、かなり劣化したケーブルでも直流成分は、1nA(1×10のマイナス9乗A)未満しか発生しない場合があり、交流課電時の直流成分の値だけでは、精度の高い診断は困難でした。そこで、交流電圧に直流電圧を重ねる(バイアスする)ことによって、直流成分を増幅させて劣化信号の把握精度を大幅に向上させたのが本装置の診断方法です。この方法は、(1)診断中にケーブルを絶縁破壊させることがない、(2)直流バイアス電圧は、最大1,000ボルトであるので、ケーブル端末部からのコロナ発生の問題がなく、正確な測定ができる、(3)直流成分の測定は、電源側の接地回路で行うため、絶縁劣化により発生する直流成分の値は、迷走電流の影響をほとんど受けず、0.1nAまでの直流成分も正確に測定できる等の優れた特徴を有しています。

 また、従来のCVケーブルの絶縁劣化診断では、診断装置の各機器を現地でセッティングする必要があり、さらには診断に必要な電源の確保など、診断作業開始までにかなりの時間を要していました。今回完成したケーブル絶縁診断車は、診断装置がすべてセッティングされているのはもとより、エンジン発電機及び診断解析用のコンピュータも搭載されているため、ケーブル診断時の電源確保の必要がなく、リードケーブルを被診断ケーブルに接続するだけでコンピュータによる診断ができるようになっています。しかも、その結果もすぐに出力できるので、診断時間を大幅に削減することができます。

 なお、診断車の側面には、当社のコーポレート・スローガン「まーるい地球を、まぁるくつつむ。」と社名を組み合わせた表示がデザインされており、美しい外観となっています。

以上