2000年 旧 日立電線ニュースリリース

一覧へ戻る

このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

化合物半導体の設備投資を本年度120億円に増額修正

 このたび当社は、化合物半導体への旺盛な需要に対応するため、今年度のこの分野における設備投資額をこれまで計画していた72億円から120億円に増額修正し、さらなる生産能力の増強を行うことにいたしました。
 当社のガリウムひ素系を中心とした化合物半導体事業は、旺盛な需要に支えられ昨年末から順調に拡大しており、この分野の売上高は、平成11年度の130億円(実績)から、平成12年度には200億円強(予想)、平成14年度には300億円強(予想)と、急激に拡大していくと見込んでいます。このような状況の中、電子デバイス用、光デバイス用の双方について設備投資を行い生産能力を大幅に増強することにより、需要の拡大に対応しようというものです。これらの設備は順次戦力化し、最終的には平成13年6月に完成する予定です。

電子デバイス用材料

 この分野については、移動体通信機器に使用される高周波デバイス用のLEC*1 基板、およびMOVPE*2 エピタキシャルウエハ(以下、MOエピウエハ)が、携帯電話の世界的な普及を反映して、需要の増加が続いています。
 したがって当社では、今回増強する設備を用いて、6インチ(150mm)径の大型基板、及びHBT*3 用MOエピウエハの量産やInGaP薄膜を使用した各種エピウエハといった新製品の開発、量産に注力していく考えです。また、今後需要の伸びが期待される半絶縁性VGF*4 基板についても、さらに大直径の製品の開発を進めてまいります。

完成時の生産能力(予定)

基板 LEC基板、生産能力45,000枚/月(4インチ径ウエハ換算、現状の約2.3倍)
エピウエハ MOエピウエハ、生産能力24,000枚/月(4インチ径ウエハ換算、現状の3倍)

光デバイス用材料

 この分野については、ボート法やVGF法による導電性基板、MOエピウエハ及びLPE*5 エピタキシャルウエハ(以下、LPEエピウエハ)の需要が当初の予想を上回って伸長しています。
 今回設備増強を行なうことにより、超高輝度LED用のAlGaAsエピウエハおよびAlGaInPエピウエハ、またCD-ROM、CD-R等に使われるLD用エピウエハの生産能力増強を推進していきます。

完成時の生産能力(予定)

基板 ボート基板、VGF基板、合計生産能力95,000枚/月(現状の1.5倍)
エピウェハ LPEエピウエハ、MOエピウエハ、合計生産能力59,000枚/月(現状の1.7倍)

 今後も当社は、電子デバイス市場と光デバイス市場の両方において、結晶成長から基板、エピウエハまで一貫して手掛けるガリウムひ素系化合物半導体の総合メーカーとして、高品質の製品を安定して提供することを目指してまいります。
 なお、今後の市場動向によっては、さらに追加投資も検討してまいります。

今年度の設備投資額

建屋 22億円
設備 98億円

化合物半導体の製造を行なっている工場の所在地

〒319-1418茨城県日立市砂沢町880番地 高砂工場

*1LEC=Liquid Encapsulated Czochralski 液体封止チョクラルスキー法
GaAsの融液からの単結晶成長法の一種。成長炉に配したルツボにGaAs融液を作成し、融液表面に種結晶を接触させた後、回転させながら引き上げることで単結晶を成長させる方法。この方法はシリコン結晶他の融液成長で広く用いられておりチョクラルスキー法と呼ばれる。GaAsでは、融液表面からAsが蒸発するのを防ぐため、表面に酸化硼素の融液を浮かべた状態で引き上げ成長を行うことから、液体封止チョクラルスキー法、あるいは液体封止引上法とよばれる。
*2MOVPE=Metal Organic Vapor Phase Epitaxy 有機金属気相エピタキシャル成長法
TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMI(トリメチルインジウム)等の有機金属とAsH3(アルシン)やPH3(ホスフィン)等の気体を熱分解し、その熱分解された原料を用いてGaAsウエハ等の基板上にGaAs、AlGaAs、InGaAs、InGaP等の薄膜をエピタキシャル成長させる方法。
*3HBT= Heterojunction Bipolar Transistor ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
単電源動作が可能で、高電流利得、低位相雑音特性、低ひずみ等の優れた特性を有するトランジスタ。
*4VGF=Vertical Gradient Freezing 縦型徐冷成長法
GaAsの融液からの単結晶成長法の一種。成長炉に配した縦型の円形ルツボ中にGaAs融液を作成し、炉の熱源を徐冷することでルツボ最下部に配した種結晶から結晶を固化させる方法。
*5LPE=Liquid Phase Epitaxy 液相エピタキシャル成長法
GaAsウエハ等の基板に液体金属のGaを溶媒としてGa、Al、As等の溶質を過飽和に溶解し、その状態で除冷して基板上にGaAs、AlGaAs等の薄膜を析出成長させる方法。

以上