1998年 旧 日立電線ニュースリリース

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阿南紀北直流幹線向け50万V光複合海底ケーブルを出荷

 このたび、関西電力株式会社殿と電源開発株式会社殿が共同で建設を進めている阿南紀北直流幹線に使用する直流50万V海底ケーブルの製造が完了し、11月9日には、日立電線株式会社みなと工場(茨城県日立市)から、このケーブルを積み込んだ布設専用船が出港する予定です。
 阿南紀北直流幹線は、住友電気工業株式会社、古河電気工業株式会社、株式会社フジクラ及び日立電線株式会社で構成するジョイントベンチャーが合計4条のケーブルを製造・布設するもので、今回の1条分のケーブルの布設が、この世界最大級の海底ケーブルプロジェクトの最終部分となります。

 ケーブルは直流50万VOFケーブルで、絶縁特性をより高めるため、直流として初めて絶縁紙に紙・ポリプロピレン・紙の三層構造を持つ半合成紙を採用いたしました。これにより絶縁体厚さを低減し、ケーブル外径を7%、重量を14%それぞれ低減することができました。
 導体サイズは3000mm2 で、直流ではこれまでのバルチック海底線(ドイツ−スウェーデン間)の1600mm2をはるかに上回り、世界最大となります。さらに、設計運転電圧は直流50万Vであり、これも海底ケーブルとしては世界最大です。
 また、鉄線鎧装の内側には、光ファイバケーブルが12本複合されています。この内2本は、ケーブル温度管理のための温度センサーとして使用され、ケーブルの保守管理を効率的かつ効果的に行い、線路の高い信頼性を確保することができます。この温度センサー測定装置は、新しく開発されたものです。この装置内でセンサー機能を果たす光信号は、低損失波長帯を使用し、損失を従来の製品に比べ半減させるとともに、その信号処理部に独自の工夫を施すことによって、世界最長の測定可能長(30km)が実現できました。これが両岸に一台ずつ設置され、光ファイバを切り替えることにより、4条の海底ケーブル全てについて全長の温度を常時監視することができる画期的なものです。

 阿南紀北直流幹線は、徳島県阿南市に建設中の電源開発(株)橘湾火力発電所(210万kW)の電力の一部を関西地区に供給するもので、平成12年7月に運転を開始する予定です。ケーブルは徳島県阿南市の阿南変換所から紀伊水道の海峡を横断して和歌山県由良町の由良開閉所間の50.7kmに布設され、このうち海底部は48kmとなります。
 また、本幹線用に布設された4条のケーブルは、双極1回線(プラス極とマイナス極を持つ直流ケーブル)2条と中性線(プラス極もマイナス極も持たない直流ケーブル)2条に区分けされ、1回線当りの送電容量は140万kW(当初は25万Vで運転開始。将来50万Vに昇圧。)です。
 今般出荷するケーブルの布設は、11月15日から開始し、11月末には完了する予定で、本ケーブルをもって、海底ケーブル4条全ての布設が完了することになります。その後は陸上ケーブルと接続、温度監視装置を含む保守監視システムを設置し、平成11年9月までに全システムを完成させる予定です。

ご参考

出港時期/布設時期/製造会社名

1条目 4月18日/ 4月25日〜 5月10日/株式会社フジクラ
2条目 5月29日/ 6月 7日〜 6月20日/住友電気工業株式会社
3条目 7月 3日/ 10月 3日〜10月12日/古河電気工業株式会社

以上