1994年 旧 日立電線ニュースリリース

一覧へ戻る

このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

映像信号用発行ダイオードの開発に成功

 当社は、このたび空間光伝送のための高速・高出力赤外発行ダイオードの開発に成功しました。この発行ダイオードの遮断周波数は40MHz、発行出力は19mWであり、映像信号伝送用搬送周波数である6〜30MHz、空間伝送に必要な発行出力である15mWを十分満足するものです。

 テレビ、ビデオ、コードレスフォンなどのAV機器、蛍光灯の制御など赤外線によるリモコンは、広く家庭まで浸透し、いまやリモコン文化と呼べる時代となっています。こうした音声、制御信号の伝送に加え、映像信号などのより情報の多い信号も空間伝送したいという要求が最近強まっていますが、映像信号の伝送では、6−30MHzの搬送周波数(従来の制御用リモコンは33-40kHz、音声伝送は2-6MHz)が必要となるため、30MHz以上の遮断周波数をもつ高出力発行ダイオードの出現が待たれていました。

 従来の発行ダイオードは、基板に光が吸収されないように、発行波長に対して透明なAlCaAs基板を使用し、発行層から基板裏面に向かった光を基板裏面で反射させることにより出力の向上を図っていましたが、遮断周波数を上げると出力が低下するという欠点がありました。これに対して、今回当社が開発した発行ダイオードは、GaAs基板とAlGaAs単結晶エピタキシャル成長層界面に空洞部を設けることで光を効率よく反射させる、特殊な構造となっています。これにより、映像信号等の空間伝送に必要な高出力を確保するとともに、高いキャリア濃度の発行層の品質を改良することにより高速化(遮断周波数の向上)併せて達成し、従来品の欠点を克服しました。こうした特殊な構造を採用できましたのは、長年にわたって当社が培ってきた独自のエピタキシャル成長法とAlGaAs結晶の性質を踏まえて当社が開発したプロセス技術がベースとなっています。なお、この発光ダイオードの発光波長は、850nmです。

以上