1991年 旧 日立電線ニュースリリース

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ハイドロケベック(カナダ)より
世界初の直流プラスマイナス50万ボルトOFケーブルを受注

 このほど当社は、丸紅株式会社を窓口として、カナダ・ケベック州の電力庁である「ハイドロケベック」から、世界最高電圧である直流プラスマイナス50万ボルトOFケーブル(油入り絶縁線電力ケーブル。OFは、Oil-Filledを略したもの。)を布設工事込みで正式に受注し、一部出荷を開始することとなりました。

 現在、カナダ・米国両政府間で、カナダ・ケベック州ジェームズ湾近くの豊富な水力を利用して発電した電力を、米国のニューイングランド地区に送電するための送電線路建設プロジェクトが推進されています。この送電線路の総延長は、1,300キロメートルにも及び、この大半は架空送電線により送電されますが、セントローレンス河の横断は、地下トンネル内の地中送電線により送電されることになっています。こうした長距離送電において電力を効率よく送電するためには、50万ボルト級の超高圧直流送電とする必要がありますが、それに伴いこのプロジェクトでは、地中送電線も、世界初の直流プラスマイナス50万ボルトOFケーブルが実線路に採用されることになりました。このような背景から、モントリオールのケベック州電力研究所(IREQ)において、当社の他に、ピレリー社(イタリア)、STK社(ノルウェー)の2社が選ばれ、1988年から実線路布設に先駆けて実ケーブルによる実規模試験(型式試験、長期信頼性の実負荷試験など)が実施されてきました。2年半にわたる、極めて厳格な検証と比較試験の結果、最終的に当社のケーブルのみが採用されることとなり、今回の全量受注に至ったものです。

 今回当社が受注したのは、セントローレンス河を横断する深さ80メートルのトンネル内に布設する、恒長5.1キロメートルの直流プラスマイナス50万ボルト単芯1,400スケアミリメートル銅導体紙絶縁、鉛被OFケーブル6条で、ターンキーベース(資材据付工事一括契約)となっています。ケーブルの仕様は、仕上り外径135ミリメートル、重量は1メートル当り45キログラムもあります。今回は、信頼性確保の観点から5.1キロメートルを接続無しの一連続長で製造、輸送、布設することが要求されていますが、このため1本のケーブルの出荷総重量は250トンにもなり、その製造には非常に高度な技術と大型で最新鋭の設備が必要となります。現在、当社では、3万トン級の鉛が直接接岸できる、茨城県日立市にある当社のみなと工場で、本ケーブルの製造を行っており、近々、第1回目の船積出荷を行う予定です。

 ケーブル布設工事は、本年9月から開始し、来年夏には完了することとなっていますが、従来この種の地中送電線の布設は、世界的にみても1条の長さが1キロメートル程度が限度であり、5.1キロメートルは、類がない長尺ケーブルの布設工事といえます。このため、当社では、このプロジェクトのために特殊な布設工法を開発し、万全を期すことにしています。

 今回の50万ボルト超高圧長尺直流ケーブルの製造及び布設工法の開発によって、世界の地中線電力ケーブルの分野における当社の技術的優位性は、さら確固たるものになったといえます。

以上